ガイド候補が案内の技磨く 富山県の黒部宇奈月キャニオンルート

イラストを示し、手ぶりなどを交え見どころを紹介するガイド候補=欅平上部の展望台

 富山県の黒部峡谷から黒部ダムに至る「黒部宇奈月キャニオンルート」が来年6月に一般公開されるのに向け、観光客を案内する専門ガイドの研修が5日、現地で行われた。養成中のガイド候補4人が黒部ダムから欅平までを案内しながら、電源開発の歴史や雄大な自然景観などの魅力を伝える技術を磨いた。

 県はキャニオンルートの旅行商品化に向け、今年3月から専門ガイドの育成を開始。日本人客向け6人と外国人客向け7人の計13人が座学や実地で研修を重ねており、日本人客向けの実地研修はこの日が7回目。富山、石川両県在住のガイド候補4人が、指導を担当している渡辺康洋富山大名誉教授(観光学)やJTB総合研究所の勝野裕子主任研究員のほか、県職員や報道陣ら約20人を案内した。

 ルートは黒部ダムから物資輸送路のインクラインや蓄電池機関車などを乗り継ぐ約18キロ。乗り物に乗ってトンネルなどを進む時間が長いことから、ガイド候補の4人はタイムスケジュールや導線を確認しながら、各所でイラストを示したり、同行者に問いかけたりするなど、電源開発の歩みを分かりやすく伝える工夫を凝らしていた。

 案内を務めた安江政子さん(56)=富山市=は「たくさん練習してきたが、緊張した。もっと自分の言葉で先人たちの偉業を伝えられるようにしたい」と振り返った。

 渡辺名誉教授は「お客さんにルートの価値を理解してもらい、満足してもらえるよう、今回の反省を生かしたい」と語った。勝野主任研究員は「見どころの解説以外でアドリブを効かせるなど、来訪者を引きつける工夫が重要。ルート全体を通した魅力を伝えられるように育てたい」と語った。

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