大分トリニータ 「俺スタイル」を貫く渡辺新太 【大分県】

「残り5試合となりプレッシャーがかかるが、『俺が昇格を決めてやるんだ』という強い覚悟が必要。それは練習から示さなければいけないし、仲間であっても厳しく要求しなければいけない」

前節の大宮に敗れ暫定9位に下がった大分トリニータ。不穏な空気を吹き飛ばそうと気を吐くのが渡辺新太だ。練習から、荒々しいコンタクトプレーで戦う姿勢を示す。あまりに激しいプレーにコーチ陣から「注意」を受ける場面もあるが、「それが俺のスタイル」と言い切る。

今季はチームが始動して間もない時期に負傷し、手術後も長いリハビリ生活が続いた。6月に復帰し、起爆剤になろうとアグレッシブなプレーを続けた。前線から激しく相手を追い込み、ボールを刈り取る。激しさのあまり警告を受けることもあるが、「ボールを奪えば、一気にチャンスは広がる」と得点を渇望する。9月の水戸戦でようやく今季初ゴールを決めたが、「まだまだ(ゴールを)決めなければいけない」と得点への貪欲な姿勢は変わらない。

練習から、昇格への覚悟を示す渡辺新太

渡辺は、ボールを保持する味方に対して「寄こせ」と動きでメッセージを送る。それは年上であっても年下であっても何ら臆することはない。「ゴールに近い位置でボールを持てば得点のチャンスは広がる」と、最短距離でゴールを目指す。ボールを受けると前を向き、直線的な動きで守備網の分断を図る。下がってボールを受けることもあるが、あくまでボールを前に運ぶための動作。仕掛けてはつぶされ、強引なシュートがブロックにあうこともしばしばあるが、しっかりとFKやCKを取って次の攻撃につなげる。時間が経つにつれて、彼の動きに他の選手が呼応して、シュートエリアを複数で攻略できるようになった試合もあった。

チームが昇格を狙う上で、残り試合は極めて重要なポイントとなる。そこで結果を得れば大きな駆動力を生み出す。前線のパートナーを選ばない渡辺は、スタメン発進でこそ効力を発揮する。今季はサイドとトップ下で起用されているが、ポジションがゴールに近ければ近いほど、得点力を発揮するのが渡辺だ。下平隆宏監督はこのセカンドストライカーをいかに活用するのだろうか。要注目である。

「ゴールを決めるのが自分の仕事」と言い切る

(柚野真也)

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