【大分】大分市神崎の大分マリーンパレス水族館「うみたまご」で飼育されている雌のセイウチ「泉」(18歳)と「ぶぶ」(22歳)の妊娠が確認された。泉の妊娠は2019年に続いて2回目(20年に流産)。ぶぶの妊娠は初めて。順調に進めば来年3~6月に出産する予定。無事に生まれれば同館では初となる。
同館は3頭のセイウチを飼育しているが全て雌。繁殖のため、雄がいる鳥羽水族館(三重県鳥羽市)と協力して、個体を一定期間貸し借りする「ブリーディングローン」を実施。2019年から毎年、鳥羽水族館に3頭を一時的に移して妊娠を試みている。
今年は1月に泉、2月にぶぶを約1カ月間送り出し、繁殖実績のある雄の「ポウ」とペアリング。泉は7月、ぶぶは8月のエコー検査でそれぞれ胎児を確認した。2頭とも経過は順調で、体調を見ながら無理のない範囲でショーへの出演を続けている。
セイウチは国内の水族館にいる繁殖実績のある雄の数が限られており、繁殖の成功例が少ない。妊娠期間は約15カ月で授乳期間も2~3年と長いため、出産のチャンスが少なくリスクも高い。
同館ではこれまでの反省点を生かし、生体リズムを整えるため、日照時間と合うよう照明の点灯時間を調整するなど工夫を重ねてきた。
飼育部の沢田達雄さん(42)は「エコー検査で胎児を確認したときは感動で涙が出た。これまでさまざまな工夫をしてきて、結果が出せたことがうれしい。2頭が無事出産できるよう取り組んでいく」と話している。