杵築日出署員の劇団好評、公演依頼が増加 事故や詐欺被害防止へ分かりやすく【大分県】

双城劇団の中心として活動する(左から)橋本達矢さん、野口裕人さん、小林翔人さん
9月下旬、杵築市内の高齢者施設で公演する双城劇団。コミカルな演技で笑いを誘っていた

 【日出】杵築日出署員でつくる「双城(そうじょう)劇団」に公演の依頼が増えている。事故や特殊詐欺の被害を防ごうと、寸劇を通じて分かりやすい広報啓発を展開。管内の高齢者施設やイベントでの名演技が人気で、活動の幅を広げている。

 双城劇団は2016年に結成。同署が管轄する日出町と杵築市にある暘谷城跡と杵築城にちなんで名付けられた。

 異動などで団員は入れ替わり、現在は同署地域課の橋本達矢さん(31)、野口裕人さん(20)、大神駐在所の小林翔人さん(29)の3人を中心に活動。演劇経験のない素人だが、休憩時間など勤務の合間を縫って週3回程度、1~2時間の稽古を重ねている。

 公演の内容は座長の橋本さんが考案。「台本を考えるのは難しい。分かりやすいことと、面白いと思ってもらえることが大事」と橋本さん。特殊詐欺などは担当課の署員に確認してもらい、内容の精度にもこだわる。

 昨年の公演回数は3、4回だったが、今年は9月だけで5回。各地での活動が口コミなどで評判となり、依頼が増えてきた。

 杵築市山香町の上地区住民自治協議会は、地域の高齢者イベントに劇団を招いた。楠本幹男会長(69)は「コミカルで分かりやすい。これからさらに依頼が増えるのではないか」と太鼓判を押す。

 3人は「活動を通じて被害を一件でも少なくすることが目標。より多くの人たちに劇を見てもらえるようにこれからも努力を続けたい」と声をそろえた。

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