鍋島緞通の歴史と未来示す 中之小路賓館で作品展、10月9日まで

歴史を伝える鍋島緞通を並べる4代目技術継承者の吉島ひろ子さん=佐賀市の中之小路賓館

 鍋島緞通(だんつう)の伝統を受け継ぐ「吉島伸一鍋島緞通」(佐賀市大和町)が、同市の旧知事公舎「中之小路賓館」で展示会を開いている。これまでの歴史を振り返り、新たな方向性を示す30枚以上の作品を展示している。9日まで。

 鍋島緞通は佐賀藩の御用品として重宝され、幕府にも献上された。展示会では約110年前に作られた古緞通の現物や、献上品に使われていたと考えられる古典柄を再現した作品、鍋島家の家紋をイメージして赤を印象深く使った緞通で歴史を伝える。

 古伊万里の牡丹(ぼたん)など新たな文様の作品や、4代目技術継承者の吉島ひろ子さん(56)が古典柄をアレンジして西部伝統工芸展で入選した3点も並ぶ。今年から制作を始めたテーブルライナーにも緞通の柄を取り入れた。人間国宝の井上萬二さん(有田町)ら陶芸家がデザインした緞通も、伝統工芸品の可能性を感じさせる。

 吉島さんは「伝統を次世代につなげるため、鍋島らしさを残しながら気軽に使ってもらえる作品に挑戦したい」と話していた。(花木芙美)

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