「命の水」インフラ守る 佐野市の建設会社が水道管洗浄を公開

 人口減少、施設の老朽化などにより、社会生活を支えるインフラの維持、管理が全国的な問題になっています。佐野市の建設会社では、古くなった水道管の内部を洗浄する技術を独自に開発し、ワークショップで公開しました。

 水道管の内部の洗浄技術を開発したのは、佐野市の中里建設です。

 佐野市内で開かれた、公益財団法人の土木学会環境工学委員会が開いたワークショップで、独自に開発した「アクアピグ」と呼ばれる技術を公開しました。

 アクアピグの「ピグ」はソフトボールのような形をした洗浄材のことで、2014年に開発した特殊なスポンジ製のピグを水道管に送り込むことで、配管の中にへばりついた汚れをきれいにします。

 今回洗浄した水道管は1979年に設置されて以来、44年間洗浄していません。水道水の流れでは配管周りの汚れははがれず、きれいな飲み水が流れていますが、ピグを投入すると一気に濁ります。480mの水道管をピグは8分かけて通過し、通過した後は再びきれいな水が流れていきます。

 水道管の内部の洗浄は、配管を取り換える方式では莫大な費用と作業日数がかかりますが、中里建設は2008年に日本で初めてピグによる洗浄を実施。新たに開発したアクアピグは水道管内で詰まることはなく、これまでに70件、約7万キロの水道管をきれいにしました。

 日本には約74万キロ、佐野市だけでも500キロの水道管が設置されていて、老朽化、人口減少による水道需要の減少で施設の維持、管理は大きな問題になっています。

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