高校で学び「人生豊かに」 68歳の下山さん(五島高定時制3年) 生活体験発表大会で県知事賞

県知事賞に輝いた下山さん=佐世保市、相浦地区コミュニティセンター

 長崎県内の定時制、通信制高校に通う生徒の「生活体験発表大会」が1日、佐世保市川下町の相浦地区コミュニティセンターで開かれた。最優秀賞の「県知事賞」には、県立五島高定時制3年で68歳の下山春雄さんが輝いた。
 県高校定時制通信制教育振興会が毎年実施。今年は8校から15人が出場し、7分以内で学校生活を通して学んだことなどを発表した。
 下山さんのテーマは「目標を掲げて」。家庭の事情で高校進学を断念し、中学卒業後、建築の仕事に就いた下山さん。日々の生活に追われ、ようやく時間と生活に余裕がもてるようになった頃には60歳になっていた。今後の人生を考えた時にそれまで心の奥にしまい込んでいた「高校で学びたい」という思いがわき上がってきた。
 しかし、なぜ定時制高校に行きたいのか-。興味があるパソコンも英語も教室に通えば勉強できる。思索する中で、人生に悩んだ15歳の自分、定時制高校の存在を知り、通う人をうらやんだ10代の自分が浮かんだ。そして65歳の時に「自分自身で高校生活を体験し、肌で感じたい。クラスメートと共に教室で勉強したい」という気持ちに気づいた。
 高校入学後は、勉強などに苦戦しつつも皆勤賞を目標に挑戦している。他にも卒業までに英語への理解を深め、卒業後は経済に関する勉強をするなど多くの目標があるといい、「学びは人生を豊かにする。今私は68歳、まだまだたくさんの目標がある。思うようにいかないこともあるが、それでも初心を忘れることなく、これからも一歩ずつ進んでいく」と結んだ。
 下山さんは11月に東京で開かれる全国大会に県代表として出場する。他に、県立佐世保中央高夜間部1年の藤永貴絵子さんが県教育委員会教育長賞に、県立鳴滝高通信制3年の神﨑まどかさんが県高校定時制通信制教育振興会長賞に選ばれた。

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