オリオールズを100勝に導いたハイド監督を支えたマドン氏の言葉

2021年に110敗を喫したオリオールズは、昨季アドリー・ラッチマンの登場とともに躍進を遂げ、6年ぶりのシーズン勝ち越しを記録。そして、今季はリーグ最多の101勝をマークし、7年ぶりのプレーオフ進出と9年ぶりの地区優勝を成し遂げた。チームがどん底の状態にあった2018年オフにオリオールズの監督となり、就任5年目にして大輪の花を咲かせたブランドン・ハイド監督。精神的に苦しい時期を支えてくれたのは、カブス時代の上司でもあるジョー・マドン氏の言葉だった。

2018年12月、カブスのベンチコーチを務めていたハイドのもとに、オリオールズから監督就任のオファーが届いた。オリオールズは2018年に球団史上ワーストの115敗を喫し、大規模なチーム再建に着手。数年間は負け続けることが確定しているような状況であり、ハイドはこのオファーを受けるべきかマドン氏に相談した。

マドン氏は「もちろんオファーを受けるべきだ」とハイドの監督就任を後押し。「大変なことになるのは間違いない。でも引き受けるべきだ。なぜならオリオールズという球団組織にキミの存在を知らしめる絶好の機会だからだ。これまでに学んできたことを全て生かして頑張りなさい」と教え子のハイドにエールを送ったという。

ハイドやマドン氏が予想していた通り、そこからは苦しいシーズンの連続だった。就任1年目の2019年は108敗を喫し、短縮シーズンの2020年は25勝35敗で地区最下位を脱出したものの、2021年は2年前を上回る110敗。ハイドの監督としての手腕に関係なく、オリオールズには純粋に戦力が不足しており、「打ちのめされるのは大変なことなんだ」とハイドは当時のことを振り返る。「選手に申し訳なかった。報道で読むのも聞くのもネガティブなことばかり。そんななかでプレーするのは大変だ。ポジティブで居続けるのは難しい」と精神的にキツい時期が続いた。

それでもマドン氏は「彼には間違いなく資質があるし、野球のことをよく知っている。集団の先頭に立つリーダーシップも兼ね備えている」とハイドの能力を疑わなかった。「負け始めて、負けが続いてしまうと、自分の能力を疑い始めるようになる」とマドン氏。「私は彼に、それだけはしないように伝えた。きっと上手くいく、きっと乗り越えられる、ってね」とハイドを支え続けた。

そして、ハイドは苦しい3年間を乗り越え、2022年の躍進を経て、今季はプレーオフでチームを率いることになった。主力選手の1人であるオースティン・ヘイズが「ハイドは本当に素晴らしい仕事をしている。状況に合わせて、成功の確率が高い選手をフィールドへ送り込んでいる」と語るように、選手からも厚い信頼を得ている。

ハイドによると、マイク・エライアスGMからは「チームにより多くの才能が揃ったときに交代させるためにキミを雇ったわけではない」と言われたという。「マイクはその言葉を守ってくれた」とハイド。カブス時代の2016年にコーチとしてワールドシリーズ制覇を経験しているが、監督としては自身初となるプレーオフの戦いに挑む。

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