栃木県内24年産 とちあいか作付け倍増 244haでとちおとめ超える

 2024年産(23年秋~24年春)の栃木県オリジナルイチゴ「とちあいか」の県内の作付面積(JAグループ出荷分速報値)が、9月末時点で前年産の約2倍の244ヘクタールとなり、「とちおとめ」の175ヘクタールを上回ったことが5日、JA全農とちぎの調査で分かった。とちあいかがとちおとめを上回るのは初めて。とちあいかは病気に強く収量も多いことから、生産者が増えているとみられる。とちあいかが本県イチゴの作付面積全体の55%を占めることになり、「いちご王国・栃木」は大きな転換期を迎えている。

 県産イチゴの9割の出荷量を占めるJAグループ栃木によると、23年産のとちあいかの作付面積は118ヘクタールで、本県全体の27%だった。24年産の9月末時点の作付面積は本県全体の半数超を占め、名実ともに主要品種となった。

 長年、生産量日本一をけん引してきたとちおとめの24年産の作付面積は、前年産の298ヘクタールから41%減少。次いで「スカイベリー」は前年産の25ヘクタールから12%減の22ヘクタールだった。

 とちあいかは18年に品種登録が出願され、20年産に初出荷。今の名称に決まった21年産から出荷は本格化した。県や全農とちぎによると、とちあいかはとちおとめよりも病気に強く、10アール当たり収量(単収)も約3割多い。大玉傾向で収穫やパック詰めの作業負担も軽減されることなどから、生産者の間で評価が高まっているという。とちおとめからとちあいかへ転換する生産者が増えているほか、とちあいかを選ぶ新規就農者も多いとみられる。

 24年産は、夏場の猛暑による育苗などへの影響が懸念されたが、県生産振興課は「特に大きな被害は確認されておらず、定植は順調に進んだ」と説明する。

 県やJAグループ栃木などは、とちあいかの27年産作付面積を本県全体の8割まで拡大させる目標を掲げている。単収に優れるとちあいかの作付面積が増えれば、出荷量と販売額で日本一を維持する本県にとってさらなる追い風となる。

 農家の収益向上も期待される中、同課は「品質向上や収量増に向けた生産者の指導を継続するほか、苗の安定供給も図り、目標を達成したい」としている。

出荷される「とちあいか」

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