ディポート編成本部長が目指すチーム作り 「10年間で勝率.540」

マリナーズのジェリー・ディポート編成本部長がレギュラーシーズン終了後の記者会見で「ワールドシリーズ制覇を成し遂げるために、ファンの皆様に我慢をお願いしている」などと発言したことが大きな話題となった。ファンからの反発が大きく、批判の声も上がったため、ディポート編成本部長は「今回も私が犯した失敗の1つだ。伝えたかったことを上手く説明できなかった」と謝罪。その一方で「持続的に勝てるチーム作りを目指す」との方針を改めて強調した。

ディポート編成本部長が示したチーム作りの方針は「10年間のスパンで勝率.540のチームを作る、つまりシーズン平均87.5勝のチームを作る」というものだった。マリナーズは2021年から2年連続で90勝を挙げ、今季は88勝を記録。ディポート編成本部長が目指す「持続的に勝てるチーム」となりつつある。ところが、プレーオフ進出は2022年の1度だけ。勝ち切れないことがファンの不満につながっているとみられる。

しかし、ディポート編成本部長は「10年間で勝率.540のチームを作れば、85~90%の確率でワールドシリーズに進むことができる。これは1995年からのワイルドカード時代に当てはまるし、地区制が導入された1969年までさかのぼっても当てはまる」と強調する。「(ワールドシリーズに進むことではなく)ワールドシリーズに勝つことを目標にすると、持続可能性を犠牲にし、非常識なことをしなければならない。それは我々が目指す方向性ではない」とした。

ディポート編成本部長は大物選手を補強する可能性を完全に排除しているわけではない。しかし、ディポート編成本部長のコメントから、ファン(や選手)には「マリナーズは大物選手の補強は行わない」と伝わってしまった。この点について、ディポート編成本部長は「自分の説明不足だった」と謝罪したのだ。

ファンは当然、応援しているチームが毎年ワールドチャンピオンになることを望むが、それは現実的な目標ではない。プレーオフのような短期決戦では、運の要素も大きく影響するため、レギュラーシーズンで圧勝したチームが勝つとは限らない。そうしたことを踏まえ、ディポート編成本部長は「一瞬のピーク」を作るのではなく、「毎年プレーオフに進出できる可能性があるチーム」を作ることを目指しているのだ。

ワールドシリーズ制覇のチャンスがあるシーズンにリソースを集中させるべきなのか、持続可能なチームを作るべきなのか、意見は分かれるところだろう。金満球団に対抗できるほどの資金力はないマリナーズにおいて、ディポート編成本部長はこれからも持続可能なチーム作りを続けていく。

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