日光の老舗漬物店、ライバル同士で新商品 創業以来初めてのタッグ 「一つになって他県と競う」 

コラボ商品を手にする樋山社長(左)と福田副社長

 【日光】ともに長い歴史を持つ市内の老舗漬物店がタッグを組んで新商品を開発し、販売を始めた。今市地域で店を構えるライバル店同士。「同じ地域内で競うのではなく、競うべきは他県の観光地。日光が一つになり競争力を高めるきっかけになれば」と、創業以来初めて手を取り合った。

 新商品を開発したのは、「日光醤油(しょうゆ)のろばたづけ」で知られる「樋山昌一商店」(小倉)と「日光のけっこう漬」を製造販売する「けっこう漬本舗」(平ケ崎)。1897(明治30)年創業の樋山昌一商店は120年以上、けっこう漬本舗も80年の歴史を持つ老舗だ。

 新型コロナウイルス感染症の影響で活気が失われた中、樋山商店の樋山裕伸(ひやまひろのぶ)社長(48)が「地元密着の明るい話題がほしい」と、けっこう漬本舗の福田浩之(ふくだひろゆき)副社長(46)に話を持ちかけた。

 新商品は「日光ゆば混ぜ込みごはんの素(もと)」。けっこう漬本舗の日光ゆばと、ろばたづけでも歯応えの良い蔵出しだいこんを合わせた。加熱処理は行わず冷凍で販売。ご飯に混ぜるだけで楽しめる。

 980円で自社店舗や今市の道の駅日光街道ニコニコ本陣で販売している。食事処のあるけっこう漬本舗ではランチタイムにメニューとしても提供する予定。

 「本来はライバル店だが、(日光の活性化という)同じ目的を持っている」と福田副社長。樋山社長は「日光にはいいものがたくさんある。自社だけではできないことも、2社、3社が手を取り合うことで新しいものができる」と強調。「日光が一つに融和するステップになれば」と話している。

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