マクラーレン、2024年WEC/ル・マンのLMGT3パートナーにユナイテッド・オートスポーツを指名

 マクラーレンは、来季2024年WEC世界耐久選手権の新カテゴリーであるLMGT3クラスへの参戦予定チームとして、ユナイテッド・オートスポーツを指名した。

 イギリスのブランドは10月6日、同社のGT3カーである『マクラーレン720S GT3エボ』をペアでWECのグリッドに送り込むことを表明。そのオペレーションを担う組織として指名されたユナイテッド・オートスポーツは、WEC・LMP2クラスでシリーズタイトル獲得経験を持つ強豪だ。同チームはマクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンが共同オーナーを務めている。

 ユナイテッドは過去4シーズンにわたってWECのLMP2カテゴリーに参戦してきたが、シリーズがハイパーカーの成長と参加するGTブランドの数を増やすことになるLMGT3の人気に対応するため、2番目のプロトタイプクラスの廃止を決めたことにより、世界選手権から去ることになると目されていた。

 なお、マクラーレンのLMGT3グリッド入りは確定したものではない。WECはこのクラスの参加するブランドをまだ正式に承認・発表していないが、ハイパーカークラスに参戦しているメーカーに優先権があることはACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長が明言している。これに該当するのはフェラーリ、ポルシェ、BMW、トヨタ(/レクサス)、ゼネラルモーターズ(キャデラック/シボレー)などであり、マクラーレンは含まれていない。

 無事に承認がおりた場合、マクラーレンは26年ぶりにル・マン24時間レースに出場する道が開かれることになる。

「モータースポーツは、マクラーレンの将来のパフォーマンス戦略の根幹をなすものであり、私たちは長いことWECが我々のマシンのパフォーマンス能力を実証する上で自然な場であると考えてきた」と語るのは、マクラーレンのマイケル・ライターズCEO。

「これにはモータースポーツにおける私たちの永続的な成功の本質的な部分であるル・マン24時間レースへの復帰、とくにスーパーカーメーカーでありレーシングカー・コンストラクターでもあるマクラーレンならではの“トリプルクラウン”も含まれる」

「私たちはマクラーレン・ブランドと同様にエンデュランスGTレースへの情熱を共有し、マクラーレンと同様にモータースポーツでの成功の歴史を持っているユナイテッド・オートスポーツを(パートナー)選んだ」。

「ユナイテッド・オートスポーツは2024年のWECに2台のマクラーレン720S GT3エボを投入する意向をACOに伝えており、彼らのエントリーが受け入れられることを期待している。そして我々も2024年からWECでライバルたちとレースができることを楽しみにしている」

WEC世界耐久選手権のLMP2クラスに参戦しているユナイテッド・オートスポーツの23号車オレカ07・ギブソン

■チームのルーツはGTレースにあり

 ユナイテッド・オートスポーツは既報のとおり、現在WECで行っているLMP2プログラムを2024年からIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに移すことになる。ここには日本人ドライバーの佐藤万璃音もサードドライバーとして参加する予定だ。

 チームのCEOであるリチャード・ディーンは以前Sportscar365に対し、ハイパーカーへのルートを見つけることもユナイテッドの課題であったが、LMGT3はWECに残る可能性のあるオプションとして検討されてきたと語っていた。

 このチームはマクラーレンとアウディとともにGTレースからスタートし、インターコンチネンタル・ル・マン・カップやブランパンGTシリーズなどさまざまな選手権に参戦した後、2016年にLMP3ベンチャーとしてプロトタイプ・カテゴリーに進出した。

 2021年にチームは1シーズンだけルーツであるGTレースに戻り、チャーリー・ファグとベイリー・ヴォワザンがドライブするマクラーレン570S GT4でGT4ヨーロッパ・シリーズを制している。

 チームを率いるディーンは、「これはマクラーレンにとってル・マン24時間レースに復帰するための非常に重要なプロジェクトであり、ル・マンそしてWECでマクラーレンを代表するチームに選ばれたことを非常に誇りに思う」と述べた。

「ユナイテッド・オートスポーツのル・マンや世界耐久選手権での経験は非常に貴重なものだ。このレースが真剣勝負の場であることはよく知っている。挑戦する準備はできているよ」

マクラーレンユーザーの中ではガレージ59やオプティマム・モータースポーツもLMGT3に関心を寄せていた
オプティマム・モータースポーツの5号車マクラーレン720S GT3エボ

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