犬の肛門腺絞りにおける『3つのタブー』愛犬に負担をかけてしまうダメ行動と安全な対策とは?

️肛門腺絞りの必要性

そもそも肛門腺絞りはなぜ必要なのでしょうか。肛門腺とは、肛門の左右に1つずつある分泌腺で、ここから個体ごとの匂いを持った分泌液を発しています。わんこがお尻の匂いを嗅ぎ合ってあいさつをするとき、嗅いでいるのは肛門腺からの匂いというわけです。

肛門腺からの分泌液は通常うんちと一緒に排出されますが、この排出がうまくいかずに分泌液が溜まってしまうと、肛門腺が腫れ、肛門嚢炎や肛門嚢破裂を引き起こすことがあります。

そのため個体差はありますが、月1回程度の頻度で肛門腺を絞ってあげる必要があると言われています。

️注意!肛門腺絞りのタブー

1.体やしっぽを無理やり押さえつける

肛門腺を絞るためには、わんこに「じっとしていてもらう」ことがどうしても必要です。とはいえ、肛門というのはデリケートな部位でもありますから、触られるのを嫌がる子も少なくありません。

そのため、暴れるわんこの体やしっぽを無理やり押さえつけるような格好になってしまいがちですが、これはNG。肛門腺を絞られること以前に、体を押さえられることがトラウマになってしまいかねません。

2.力任せに絞る

肛門腺を絞るには、肛門腺に指でギュッと圧力をかける必要があります。このとき詰まっている分泌液を一気に出そう、短時間で終わらせようと意識するあまりに、ギュッと力任せに強く絞るのは絶対にNG。

わんこに痛みを与えてしまうのはもちろんのこと、肛門腺自体にダメージがかかり炎症を起こしてしまう恐れもあるからです。

3.痛がっているのに続ける

わんこが声を上げて痛がっていたり、逃げ出そうとしたりしているのに無理やり施術を続けることもやめましょう。肛門腺絞りがトラウマになってしまい、二度とやらせてくれなくなってしまう可能性があります。

また、そもそも肛門腺絞りは正しく行えばそれほど痛みを伴うものではないため、あまりに痛がる場合はやり方が間違っているか、分泌液が溜まりすぎているか、肛門腺に異常がある可能性があります。無理はせずに動物病院に相談しましょう。

️安全な肛門腺絞りのコツ

1.慣れるまでは2人以上で

肛門腺絞り初挑戦の場合、そもそも肛門腺の位置を正確にとらえるところから始めなければなりません。手技も慣れなくてとにかく時間がかかるため、スムーズにできるようになるまでは、絞る係とわんこを押さえてなだめる係の2人以上で行うべきでしょう。

飼い主さんもわんこもお互いに肛門腺絞りに慣れてきたら、1人でも問題ありません。また、絞る場所やコツを動物病院やサロンで教えてもらうのも良いでしょう。

2.ゆっくりじわじわ絞っていく

すでにご紹介した通り、肛門腺を絞る際には「一気に絞ろう!」と強い力を一気にかけるのではなく、抑えめの力でゆっくりじわじわ絞っていくのがポイントです。

わんこにできるだけ苦痛を与えることなく、着実に分泌液を押し出すことを意識して行いましょう。

️まとめ

いかがでしたでしょうか?肛門腺絞りは、コツを掴めば素人でも簡単に行うことができますが、愛犬がお尻を触られるのを嫌がる、以前失敗したことがあって不安という人は、トリミングサロンや動物病院にお任せしてしまうのも1つの方法です。

大切なのは、愛犬に過度の負担をかけることなく健康を保つこと。そのためにも無理なく定期的なケアを心がけてあげましょう。

(獣医師監修:後藤マチ子)

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