山響の花笠が発車の音頭に 山形駅のメロディー、15日から演奏音源に切り替え

帰省客らで混雑するJR山形駅の山形新幹線ホーム。奥羽本線と併せ、15日からは山形交響楽団が演奏する「花笠音頭」の発車メロディーが流れる=今年8月

 JR山形駅(山形市)のホームで利用者に列車の出発を知らせる「花笠音頭」の音楽。おなじみとなった発車メロディーが15日から、山形交響楽団が演奏した音源に切り替わる。地域のゆかりの歌手などにちなんだ楽曲を電子音源で奏でる例が多い中、生演奏を使うケースは全国的にまれという。こだわるのは山形らしい“演出”。市の担当者は「また山形に来たいという気持ちを後押ししたい」と誘客にも結び付けたい考えだ。

 市などが6日に発表した。山形駅には1992年7月の山形新幹線開業時に花笠音頭が導入され、30年以上にわたって現在の電子的なメロディーが使われている。県内では他にJR新庄駅(新庄市)で「新庄まつり囃子」をモチーフにした音源が採用されている。今回、山形市とJR東日本、山響が連携し、地域色を強調する試みとしてリニューアルすることにした。

 新音源は従来と同じく、歌い出しから「ヤッショ マカショ」に至るまでの約25秒間で、新幹線と奥羽本線のホームに流す。収録は、山響メンバー45人のフルオーケストラで全曲通して演奏した。山形交響楽協会の西浜秀樹専務理事は「駅の音響機材やスピーカーも良く、クリアにサウンドが味わえると思う。オーケストラがある街の象徴として、山形の温かさが伝わる音を感じてもらいたい」と力を込める。

 メロディーは「発車予告音」とも呼ばれ、乗客に注意を促すために流される。鉄道ファンや旅好きの人たちの人気を集め、インターネット上には音源を集めたサイトも存在する。生演奏を使用しているのはJR仙台駅(仙台市)などに限られているといい、山形市はこれらファンにも注目してもらいたい考えだ。

 新音源の導入に合わせ、15日は山形駅で山響による金管三重奏などのセレモニーが行われる。市公共交通課の担当者は「鉄道の玄関口から山形が誇る音色を響かせたい。山形駅を出発する際は音にも耳を傾けてほしい」と話している。

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