外国人労働者38%増 青森県内2022年・コロナ前比較 東北1位、人手不足補う

 青森県の外国人労働者数は、2022年10月末時点で4340人となり、新型コロナウイルス禍前の18年と比べて38.3%増加し東北6県でトップの増加率だったことが、七十七銀行グループの七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市、77R&C)の分析で分かった。深刻さを増す人手不足を外国人労働者で補っていることが要因とみられる。同社の田口庸友(やすとも)首席エコノミストは、円安で外国人労働者の収入が母国の通貨に対して目減りしていることを課題に挙げ「官民一体で受け入れ態勢を整えることが重要」と指摘している。

 厚生労働省の外国人雇用状況のデータなどを基に、田口氏が東北の現状を分析した。青森県の22年10月末時点の外国人労働者は、コロナ禍前の景気のピークと考えられる18年の3137人から1203人増え、08年の集計開始以来最多となった。18年比の増加率2位は宮城県で34.3%増、ほか4県は20%台の増加だった。

 外国人労働者数の比較では、宮城県が1万4778人と抜きんでている。青森県は最少の秋田県の2498人を上回るものの東北で5番目となっている。宮城県は留学生が多く、コンビニエンスストアや食料品工場でアルバイトをするケースが見られ、人数が多い要因となっている。製造業が多く集積している県も人数が多い傾向がある。

 青森県はこれまで有効求人倍率の低さから、県内で労働力を賄えてきた。だが近年になって全国的に求人倍率が上昇し人手不足が顕著になってきたことで、青森県も急速に外国人労働者の受け入れが増えてきた-とみられる。

 また田口氏は、他県のデータがないため比較はできないものの外国人労働者の産業別割合で「その他」に分類した青森県の22.5%の中に「農業・林業」が10.1%という高い割合で含まれていることを特徴に挙げた。

 20年国勢調査では、青森県全体の農業従事者6万3477人のうち外国人は357人(0.6%)。地域別に見ると、三沢公共職業安定所は農業従事者3456人のうち外国人が159人(4.6%)、野辺地職安は4761人のうち121人(2.5%)を占め、主に野菜産地などで外国人が貴重な戦力となっていることがうかがえるという。

 こうした中、近年の円安が外国人労働者確保に影響してきている。海外通貨と比べた円の購買力を示す8月の実質実効為替レート(20年=100)は73.19で過去最低となり、円が世界の幅広い通貨に対して安くなっている。青森県で働く外国人はベトナム人(2056人)が最も多いが、ドル連動のベトナムのドンに対して円はコロナ禍前から2割ほど減価している。

 田口氏は「韓国や中国に外国人労働者が流れており、人手不足を外国人で補う考え方はもう通用しない」と強調する。今後に向け「処遇の改善はもとより、生活者として青森県に魅力を感じるよう官民で支援していくことが必要。輸出する農産物の生産現場に積極的に受け入れれば、帰国後に有望な顧客層を形成する役割を果たしてくれるのではないか」と提言した。

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