反対署名を開始…埼玉の「虐待禁止条例」改正案、さいたま市P協が意見書「保護者、教員らへの負担大きい」

県虐待禁止条例改正案 さいたま市P協、反対署名呼びかけ

 さいたま市PTA協議会(郡島典幸会長)は7日、埼玉県虐待禁止条例の一部改正案に反対するオンライン署名を開始した。改正案では、小学3年生以下の子どもを自宅に放置したまま外出することなどを虐待として位置付け禁止する。市Pは「保護者への精神的・経済的負担を強いるだけでなく、子どもの最善の利益を反映したものとは考えられない」と反対理由を説明し、保護者に署名を呼びかけている。

 改正案は県議会最大会派の自民党県議団が開会中の9月定例会に提出し、6日の福祉保健医療委員会で、自民、公明の賛成多数で原案通り可決された。小学3年生以下の児童の養護者は住居などに児童を残して外出することを禁じ、4~6年生については努力義務とする。罰則規定は設けない。虐待を受けた児童を発見した場合、速やかに通告・通報するとしている。13日の本会議で可決される見通し。

 市Pは6日付で、反対する意見書をホームページに公表し、県内各市町村PTA連合会などに賛同を呼びかけている。意見書で保護者や保育士、教員の負担が大きいと指摘。さらに「保護者への監視を県民に義務付けるような改正案は、地域社会の分断を促し、監視社会へ向かう危険をはらむ」「子どもを信頼して、自主性を重んじることと、ネグレクト(育児放棄)や虐待を同列にするべきでない」「子どもの意見を聞いたことがあるのか問いたい」などとしている。

 保護者の男性は「全ての親が子どもに付き添うことは難しく、条例に違反したら取り締まるのか。一律に禁止することには無理がある」と話していた。

© 株式会社埼玉新聞社