ぬいブルー 最後の大作 都内で佐野さんお別れの会

佐野さんの最後の大作「セルリアンブルーの街」が披露されたお別れの会=7日午後、東京都杉並区

 8月に亡くなった洋画家佐野ぬいさん=青森県弘前市出身=のお別れの会が7日、東京都杉並区の女子美術大学で行われ、同窓生、教え子、佐野さんが所属していた日本美術家連盟や新制作協会の関係者ら約300人が別れを惜しんだ。会の終わりには、佐野さんが2年をかけて自宅アトリエで描いた最後の大作「セルリアンブルーの街」が披露され、参列者は「青の画家」と称された佐野さんの色使いを目に焼き付けていた。

 佐野さんは生前、創作活動に励む傍ら、同大学で40年以上にわたり後進の育成に力を注いだ。お別れの会では、同大学名誉理事長の大村智さん、日本美術家連盟常任理事の入江観さんらが追悼の言葉を述べた。

 親族を代表して次男・壮さんが「本当に教え子に囲まれることが大好きで、喜んでいると思う」とあいさつ。「佐野ぬいが最後に見せた『美』は死に顔だった。目をつむって何かを真剣に考えているふうで、次に描く絵のことを考えていたに違いない」と語った。

 会の発起人代表で同大学・短期大学部の小倉文子学長は、佐野さんが自身の展示会を開く際、自分の名前よりも大学創立110周年の文字を優先して表示してくれた-と思い出を語り「大学への深い、強い思いを感じて胸がいっぱいになった」と振り返った。

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