「信じられない」「なぜ」 朝日岳遭難 死亡2人の親族や知人 驚きや悲しみの声

 那須町湯本の朝日岳登山道付近で7日朝、男女4人の遺体が見つかった遭難事故で、亡くなった宇都宮市、女性(72)とさくら市、男性(69)を知る親族や知人は、突然の悲報に苦渋の表情を浮かべた。「信じられない」「なんで登ったのだろうか」。人柄を振り返りながら、驚きや疑問の声を上げた。

 「風が強い中、なんで登ったのか」。ニュースで事故の様子を知った女性の親族の宇都宮市、男性は「温厚でいい人。驚きと悲しみしかない」とうなだれた。

 仲間と山登りをしていることは、以前から聞いていた。「誰がどのように判断して登り、事故に遭ったのかを知りたい」と悔しがった。

 女性宅の近所に住む女性(80)も、子どもの進路相談に乗ってもらったことなどを振り返り「温厚な人だった」と話す。近所のお茶会では、手作りの漬物をよく持ってきてくれていたという。別の近所女性は「みんな慕っていた。(亡くなったのは)信じられない」と声を震わせた。

 事故当時、女性と一緒に登山していたとみられる男性は、全国大会に出場歴のある熟年軟式の野球クラブ「氏家OBS」に所属していた。内外野をこなすオールラウンダーで、会計係やバスの手配も器用にこなしていた。

 チームで長年共に活動する女性(73)は「頼み事は断らず引き受け、周囲からの信頼が厚い最高の人間だった」と肩を落とす。8日には一緒に行政区の集まりに参加するはずだった。

 地元行政区の区長や民生委員も務める姿は地域でも知られていた。男性の近所の女性(62)は「小学生の下校によく付き添っていた。信じられない」。別の近隣男性(58)は「地域のために尽くしてくれていたのに」と惜しんだ。

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