短編映画で移住者を呼び込もう 京都府宮津市の住民が製作に情熱を傾けるワケ

移住者を呼び込む短編映画作りで太刀振りの撮影に臨む子どもたち(京都府宮津市須津・吉津地区公民館)

 京都府宮津市の吉津地区の住民たちが、移住者を呼び込もうと短編映画を製作している。プロの指導を受け、自ら脚本を考えてカメラを回した。美しい風景や食、伝統芸能などを住民が紹介しており、「作品を見て、住んでいる気持ちになってもらえたら」と意欲を高めている。

 吉津地区には1395人が住み、高齢化率は37.9%と市の43.4%より低く、比較的若い世代が多い。須津や文珠、新興住宅地の夕ケ丘など五つの地区で構成され、日本三景・天橋立や日本冶金工業大江山製造所があり、田畑も広がる。

 市企画課が6月、移住を促進する動画の撮影場所を募集し、同地区が応募した。住民参加型の作品制作が得意な東京の映画製作会社「and pictures」が7月下旬から脚本作りのワークショップを開き、9月23日の撮影にはカメラマンや照明、音響、出演者など小学2年から80代まで約60人が参加した。

 春休みに古里の須津に帰省した女子大生と祖父、カフェで働く移住者の女性の交流を描くシナリオで、天橋立や郷土料理「丹後ばらずし」、田園風景に加え、子どもたちが伝統芸能「太刀振り」を披露する場面もある。

 カフェの撮影では店舗が臨時休業で協力。カメラの向きを変えるなど同じシーンを4回撮影し、午後11時までかかった。出演者らは監督からOKが出るたび「よっしゃー」と大きな声を出し、元気よく臨んでいた。

 吉津地区自治連合会長の小谷一典さん(69)は「みんな最後までわいわいと楽しく撮影できた。まちの人々の雰囲気が伝わる作品になった」と自信を示した。

 作品は映画と撮影のメイキング動画の2本各5分で、同社が映像を編集し、11月ごろ完成する。市のホームページでも公開する。

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