京都北部の古民家「サウナ」でほっこり メンタル不調の人に居場所「開放感心地よい」

うつを患った自身の体験を踏まえ、月1回サロンを催している松本さん(中央)=京丹後市峰山町鱒留・むす五箇サウナ

 仕事や人間関係のストレスでうつを患い、1年半、無職を経験した男性がサウナ入浴で心身を改善した体験を踏まえ、京都府京丹後市峰山町の古民家サウナ「むす五箇サウナ」で月1回、同様の経験をしている人たちの居場所づくりのためにサロンを開いている。

 愛知県豊田市出身で、京丹後市大宮町在住の松本駿平さん(27)で、7月から第3木曜にメンタルが不調の人向けに料金500円で開き、予約なしでも対応している。

 松本さんは大学卒業後の2018年、自動車関連会社に就職し、役員送迎のドライバーをしていたが、言葉遣いや細かな所作に神経を使う仕事でストレスが蓄積。1年後にうつ病と診断され、休職した。中高ではサッカー部の主将も経験し、体には自信があったが、1日1時間も眠れないほどの睡眠障害に悩まされ、「まさか自分が」と思ったという。

 テレビで「サウナが睡眠改善に効く」と紹介されたのを見てスーパー銭湯に通い始めたが、20年秋に退職。療養を兼ねてサウナ入浴は続けた。長野県のアウトドアサウナで、京丹後に古民家サウナを計画していた足立樹律さん(30)に出会い、昨年の開業前に「一緒に働かないか」と誘われ、移住を決断した。

 9月21日のサロンでは男女6人がサウナで体を温め、近くの川で汗を流した後、ベンチに座ってコーヒーやカフェの話を交わし、ほっこりしたひとときを過ごした。業務負担が重なり体調を崩し、9月から休職している兵庫県豊岡市の男性(24)は「開放感が心地よい。いつもと違う会話もできて気分転換になった」と笑顔をみせた。

 松本さんは「無理に悩みを話さなくていい。外に出て、自然に触れて心が上向いてもらえたら」と話していた。

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