【マレーシア】日本公庫、首都で日系企業向け講演会を開催[経済]

日本政策金融公庫は「マレーシア日系企業交流会」を開催した=5日、クアラルンプール(NNA撮影)

日本政策金融公庫(日本公庫)は5日、マレーシアの首都クアラルンプールで「マレーシア日系企業交流会」を開催した。併せて行われた講演会では、講師2人が、マレーシアでの人材獲得と定着、税務と会計の最新トピックスについて解説した。日系企業の関係者ら約50人が参加した。

セミナーの冒頭では、日本公庫の佐合達矢取締役があいさつした。

第1部では、人材紹介大手ジェイエイシーリクルートメント(JAC)のマレーシア法人、JACマレーシアの桐生純子アソシエイトディレクターが、「人材獲得と定着」として、採用プロセスの重要ポイントや人材の定着を高める方法について話した。

桐生氏は、採用プロセスにおける重要ポイントとして、◇マーケットとの乖離(かいり)を少なくする◇人事に任せきりにしない◇意思決定スピードを速める◇面接スキルを磨く——の4点を挙げた。その上で、労働市場は常に変化しているため、採用プロセスや勤務に関する諸条件はアップデートする必要があるとの考えを示した。

人材の定着率向上に向けては、従業員のエンゲージメントを高めるために、社内アンケートなどでまず現状把握を行うことが重要だと提言。会社側の努力で必ずエンゲージメントは好転するとし、「お金をかけなくてもできることがある」と強調した。

第2部では、会計事務所大手グラントソントンのマレーシア法人でジャパンデスクを務める高木俊彦氏が、「マレーシアにおける税務・会計の最新トピックス」として、移転価格文書と電子インボイスなどについて講演した。

移転価格制度では、概要や改正の要点などを解説した。同制度は今年5月に新たに公布され、2023年賦課年度から適用される。高木氏は、移転価格文書化の期限は確定申告書の日付と連動することが留意すべき事項の一つだと説明。文書化が厳格化されたため、用意ができない場合は、確定申告書の期限延長の申請を行えば移転価格文書化の期日も延長することができるとし、状況に応じて検討が必要との考えを示した。

電子インボイスでは、今年7月にリリースされたガイドラインが先月に更新された。高木氏は「電子インボイスに求められる情報のリストがわずか2カ月で変更されたことから、今後も項目が整理される可能性がある」と指摘する。

マレーシア日系企業交流会は、地場金融大手CIMBグループ・ホールディングス傘下のCIMB銀行、千葉銀行、八十二銀行、北國フィナンシャルホールディングスが協力、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所が後援した。

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