片町の防犯、歌舞伎町に学ぶ 先進事例をヒントに

3連休中日に多くの観光客らが行き交う金沢市片町のスクランブル交差点=8日

  ●悪質客引きが問題に

 金沢市片町地区で「アジア最大級の歓楽街」と称される東京・歌舞伎町の防犯対策を学ぶ取り組みがスタートした。片町には3連休中日(なかび)の8日も多くの観光客らが繰り出し、新型コロナの5類移行に伴って人出は戻ったものの、最近は悪質な客引きなどが問題になっている。片町商店街振興組合などは暴力団対策で効果を上げた歌舞伎町の事例からヒントを得て、安心して楽しむことができる「夜の街」を目指す。

 片町地区ではコロナの規制緩和後、以前にも増して、悪質な客引きが目立つようになった。路上飲食で空き缶や弁当容器が道端に捨てられていることも多く、イメージダウンが懸念されている。

 北陸新幹線金沢開業前に、石川県迷惑防止条例の改正で風俗店への客引きの規制が強化されたが、規制外の業種を装って声掛けを続ける客引きが後を絶たず、飲食店を経営する40代男性は「黒服がいなくなった代わりに、私服の客引きが横行し野蛮なイメージがある」と眉をひそめる。

  ●商店街振興組合が視察、セミナー

 問題解決のヒントを得ようと、6月に片町商店街振興組合の会員が歌舞伎町を視察。多くの関係団体に参考にしてもらおうと、あらためて金沢でのセミナーが企画された。

 セミナーは9月28日、金沢学生のまち市民交流館で開催された。歌舞伎町商店街振興組合の城克(じょうまさる)事務局長が講師を務め、片町の振興組合と片町周辺飲食店ビル防犯連絡会の加盟会員のほか、金沢市や金沢中署の担当者ら40人が参加した。

 城さんは刑法犯認知件数の悪化や、44人が死亡した2001年の歌舞伎町ビル火災を受け、治安対策が急務になったと説明。暴力団排除を進めるため、民間の足並みをそろえようと、みかじめ料不払いの運動を広げたとし「ホストクラブの従業員らを巻き込んだことで効果があった」と語った。

 カラオケ店による客引きが問題となった際には、商店街と警察が連携してカラオケ店の防犯協会設立を働き掛け、客引きの沈静化を図ったという。

 片町の振興組合と飲食店ビル防犯連絡会は9月から防犯パトロールを実施しており、今後も各地の繁華街の取り組みを学ぶセミナーを予定する。連絡会の八田稔会長は「人が増え、いろいろな問題が一気に出てきている。他の事例を学び『秩序ある猥雑(わいざつ)さ』を目指したい」と話した。

歌舞伎町の防犯対策を紹介する商店街振興組合事務局長の城さん(左)=9月28日、金沢市の金沢学生のまち市民交流館

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