金沢住宅地にクマ、警戒ふん確認も見つからず

  ●三口新町

 4日午前3時20分ごろ、金沢市三口新町2丁目の住宅街で体長約1.2メートルのクマが目撃された。約200メートル離れた路上ではふんが見つかり、市職員や金沢中署員が警戒に当たった。近くの南小立野小や城南中では下校時刻を早めるなど安全対策をとった。専門家はクマが犀川沿いを移動してきた可能性を指摘し「冬眠を前に、今後も川沿いの市街地に姿を見せる恐れがある」と注意を呼び掛けた。

 市によると、クマが目撃されたのは城南中から東に約550メートル、南小立野小から北に約500メートルの住宅街。新聞配達員が目撃し、110番通報した。捜索中の市職員と猟友会員が三口新町1丁目の路上でふんを確認したが、クマは見つからなかった。

 城南中では部活動を早めに切り上げ、暗くなる前に生徒を完全下校させた。南小立野小では授業参観を行っており、保護者と一緒に帰るよう児童に呼び掛けた。子ども3人が通う土清水の角拓也さん(38)は「鈴を持たせているが、集団で大通りから登下校させたい」と語った。ふんが見つかった場所の近くに住む70代女性は「怖くて夜は出歩けない」と声を震わせた。

 石川県によると、県内では今年、9月末までのツキノワグマ目撃件数が141件(前年同期220件)となっており、このうち金沢市は33件と最多49件の加賀市に次いで多い。金沢外環状道路山側幹線(山側環状)より海側で目撃されるのは今年3件目となった。

  ●川はハイウエー、街中も注意/県立大の大井特任教授指摘

 クマの生態に詳しい石川県立大の大井徹特任教授はクマが犀川沿いを移動した可能性を指摘し「川はクマにとってのハイウエー。秋は冬眠のため、食べても食べても腹が減る状態であり、市街地でも十分に注意が必要だ」と語った。

 石川県の今年の着果調査でクマの餌となるブナなどは「並作」となったが、大井特任教授は「富山側では凶作となっており、そちらから移動してくることも考えられる」と指摘。クマは人里に近づく際、人を避けるため、夜に行動することがあるとし「出没情報があれば、朝夕の外出を避け、パニックを起こしたクマが住宅に入り込まないよう厳重に戸締まりしてほしい」と呼び掛けた。

保護者と一緒に帰宅する児童=4日午後3時、金沢市涌波2丁目

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