「気を失いかけた」「吐き気がした」サウナのような暑さで多数のドライバーが体調不良に陥り、リタイアも/F1第18戦

 ウイリアムズF1チームは、F1カタールGP決勝中、気分が悪くなってリタイアしたローガン・サージェントとともに、チームメイトのアレクサンダー・アルボンもメディカルセンターで診察を受けたことを明らかにした。カタールの日曜レースでは、高温多湿のコンディションに非常に苦しんだと多数のドライバーたちが話しており、走行中に気分が悪くなったり、レースを終えた後にマシンからなかなか出られなかったドライバーもいた。

 サージェントは、レース中、気分が悪いと訴え、チームに促され、57周のレースを40周でリタイアした。

「今週、インフルエンザのような症状が出て弱っていたローガンは、レース中、重度の脱水症状を起こした。グランプリをリタイアした後、彼はサーキットのメディカルチームの検査を受け、問題なしと判断された」とチームは発表した。

 さらに、完走を果たしたアルボンも、レース後、メディカルセンターに運ばれたという。

「カタールGP後、アレックスは急性熱中症の治療を受けるために、メディカルセンターへ運ばれた。彼は医療チームによる検査を受け、問題なしと判断された」

 エステバン・オコン(アルピーヌ)は、走行中に気分が悪くなり、嘔吐したという。オコンはそれでも57周を走り切って、7位入賞を果たした。

「15周目と16周目に気分が悪くなって、2周の間、吐き続けた」とオコンが述べたと『BBC』が伝えた。「『これは長いレースになりそうだ』と思ったよ。でも、身体のなかで一番強いのは精神面だということを意識しようと心がけた。そうして、なんとかコントロールすることができた。レースがこれほど厳しいものになるとは予想していなかった」

 ランス・ストロール(アストンマーティン)は、レース中に気を失いかけたとして、フィニッシュ後、マシンからなかなか降りることができなかった。ストロールは脱水症状の治療を受けたといわれる。レース後には、大勢のドライバーたちが、FIAのガレージで横たわっていたということだ。

 多数の高速コーナーを備えたサーキットを高温多湿のコンディション下で走り続けたこと、風が穏やかだったこと、安全上の懸念からタイヤ1セットあたりの使用周回数が18周に制限され、比較的短いスティントをプッシュして走らなければならなかったことなどが、ドライバーたちの身体に大きな負担をもたらしたと考えられている。

 優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、「今日の温度は高すぎた」と語った。

「トレーニングとは関係ない。苦しんだドライバーたちはとても体力があって、僕よりも体調が整っているドライバーもいる。一日中、サウナの中を歩いているような状態で、夜には湿度が上がる。同じような場所が他にもあって、シンガポールはとても高い気温のなかで2時間走り続ける。許される限界に達していると思う。あまりにも暑すぎた」

2023年F1第18戦カタールGP レース後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ランド・ノリス(マクラーレン)、アスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 ランド・ノリス(マクラーレン)も、このコンディションでレースをすることは許容できないと語った。

「今日、僕たちは限界を見つけたのだと思う。何人かがメディカルセンターに行かなければならず、気を失った人もいる。とても危険な状況だった」

「身体的な負担が大きいレースで、コース上はものすごく暑かった。テレビで見ているとそれほときつく見えないかもしれないが、実際に、(体調不良で)リタイアしなければならないドライバーまでいたんだ。これは行き過ぎだ。高速で走っていることを考えると、危険すぎる。そもそも、こういうことが起こってはならなかったので、これについて話し合う必要がある」

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、「レース中、気分が悪くなった」と明かした。

「信じられないほど暑くて、オーブンの中にいるようだった。サウナでトレーニングすると、身体が限界まで追い込まれて、暑くて早く出たいと思うようになるが、今日は12周目あたりから、そういう感じになった。失神しそうになった瞬間が何度かあった。とても信じられない」

 シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、「ドライバー全員にとって、キャリアで最もきついレースだったと思う。とんでもなく暑かった」と述べ、目がよく見えなくなり、反射神経が鈍くなって、正確な走りをするのが難しかったと述べた。

「今日は、最後の数周は危険な状況に陥る限界まで達していた。(レース後には)休まなければならなかった。大勢のドライバーが気分が悪くなっていたんだ。こういうことを防ぐために、改めて話し合いをする必要があるだろう」

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