カーショウに重い負担をかけざるを得なかったドジャースの台所事情

日本時間10月8日に行われたダイヤモンドバックスとの地区シリーズ第1戦は、将来のアメリカ野球殿堂入りを確実視されるクレイトン・カーショウ(ドジャース)にとってキャリア最悪の登板となった。最初の1アウトを取る前に5安打5失点を喫した史上初の投手となり、わずか一死しか取れずに6失点でノックアウト。チームは2対11で大敗を喫した。MLB公式サイトのアンソニー・カストロビンス記者は「カーショウは特大の負担を背負っている」と指摘。そこにはカーショウに初戦を任せざるを得ないドジャースの苦しい先発投手事情があった。

現在35歳のカーショウは左肩を痛めて7月上旬から1ヶ月以上にわたって戦列を離れていた。8月に復帰し、復帰後は8先発で36回1/3を投げて防御率2.23をマークしたが、9月の各登板での速球の平均球速は88.2~88.8マイル。この数字はカーショウが以前のような投手ではないことを明確に示していた。

カストロビンス記者は、日本時間9月24日のジャイアンツ戦に先発したカーショウのピッチングを見たスカウトの話として、「球威が全くなかった。彼のことは大いにリスペクトしているし、あの日の登板でもいい結果を残していたが、ジャイアンツの打者たちは失われた球威にアジャストすることに苦戦していたと思う。よりよい打線を持つチームにも通用したら驚きだよ」というコメントを紹介。ダイヤモンドバックスは優れた打線を持つチームとは言えないものの、スカウトの予想通り、カーショウはダイヤモンドバックス打線には通用しなかった。

しかし、カストロビンス記者は「ドジャースはカーショウに頼りすぎた」と安易なカーショウ批判に待ったをかける。今季のカーショウはレギュラーシーズンで131回2/3を投げたが、これはなんとチームトップの数字。地区優勝したチームの最多投球イニング投手としては史上最少記録となった。また、25試合以上に先発した投手が1人もいないチームが地区優勝したのは史上初めてのことだった(カーショウの24先発が最多)。もはやフルシーズン稼働することを期待できないカーショウに依然として「エース」という重責を担わせ、プレーオフの初戦に起用せざるを得ないドジャース。苦しい先発投手事情を象徴する出来事だったと言えるだろう。

カストロビンス記者は「今のドジャースに先発ローテーションは存在しない。10月の戦いに相応しいチームではない」とドジャースの先発投手事情を厳しく指摘。先発2番手以降には、ボビー・ミラーのような新人投手、もしくはランス・リンのようなピークを過ぎたベテランしかいないのが実情だ。今回のプレーオフの結果にかかわらず、今オフは先発投手の補強が最優先の課題となるのは間違いない。

今オフのFA市場で最大の注目株である大谷翔平(エンゼルス)は来季投げることができない。先発投手に大きな不安を抱えるドジャースだが、果たして大谷に大金を投じる余裕はあるのだろうか。山本由伸(オリックス)、ブレイク・スネル(パドレス)、アーロン・ノラ(フィリーズ)といった投手たちが大谷より優先される可能性もありそうだ。

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