台風15号に暴風域 今後急速に発達しながら北上
台風15号は9日午前9時現在、トラック諸島近海にあって時速10km/sで西北西へと進んでいます。中心気圧は980hPa、中心付近の最大風速は30m/s、最大瞬間風速は45m/sとなり、暴風域を伴うようになっています。
気象庁
台風15号は、このあと急速に発達しながら進路を北西よりへと変える見込みです。10日には強い勢力に、11日には非常に強い勢力となってマリアナ諸島付近へと進む見込みです。
12日から13日ごろにかけて小笠原の近海へ達したころに発達のピークを迎える予想で、13日午後の予想では中心気圧920hPa、中心付近の最大風速50m/s、最大瞬間風速70m/sと非常に発達する予想となっています。
アメリカ海軍
アメリカ海軍の進路予想も気象庁の予想と傾向は大きく変わりません。発達しながら北上する予想です。12日には硫黄島の近海に達して最大風速130ノットと非常に強い勢力になる見込みです。
ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)
気象庁やアメリカ海軍の予想を見ると、小笠原の近海へと達しあとは進路を北西よりから北東方向へと変える予想となっています。このあたりで大きく向きを変えるのはなぜでしょうか。
偏西風が南へ蛇行 台風は北東へ流され本州へ接近せず
気象庁の週間天気予報支援図で上空5700メートル付近の図をみると、13日ごろに、日本の上空には西から寒気を伴った気圧の谷が進んできて、上空を吹く強い風の位置が日本付近で南へと蛇行します。北上してきた台風はこの風に流されるため、北東方向へと向きを変えて加速しながら日本の東海上を進んで行くと見られています。
アメリカやヨーロッパ 10日先までの進路予想
気象庁の進路予想で示される予報円は「その時刻に台風の中心が入る確率が70%」であることを意味しています。予報円の大きさは進路予想のブレ幅を表しています。
台風の進路予報は「アンサンブル予報」という手法で行います。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。
気象庁は台風の進路予想についてアンサンブル予報の結果は公表していませんが、海外の予報機関では公開されているため見ることができます。
アメリカ海洋大気庁
アメリカ海洋大気庁のアンサンブル予報の結果です。進路にはまだブレ幅はあるものの、進む方向について大まかな傾向はそろっています。小笠原近海まで北西よりへと進んだあとは、進路を北から北東方向へと変え、日本の東の海上を北東方向へと進んでいく予想です。
ヨーロッパ中期予報センター
ヨーロッパ中期予報センターのアンサンブル予想の結果をみても、大まかな傾向はアメリカ海洋大気庁のモデルと変わりません。
現時点の気象庁や海外の予報機関の進路予想を見る限り、台風15号が本州に接近する可能性は低い予想となっています。