「男性だけずるい、悔しい」糧に 森三中・大島さんが仕事、家事でアドバイス 宇都宮で共同参画推進フォーラム

パネルディスカッションでの大島さん(右)と川面特任助教=1日午後、宇都宮市内

 「思い込みを手放し、誰もが活躍できる社会へ」をテーマに、栃木県宇都宮市内で1日に開かれた市男女共同参画推進フォーラム。アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に気付き、自分らしく活躍できる社会にするために何ができるのか。お笑いトリオ「森三中」の大島美幸(おおしまみゆき)さん(大田原市出身)らのトークセッションやパネルディスカッションの内容を紹介する。

 大島さんは「暮らしの中での思い込みに気づこう!」を演題にトークを展開。デビューした頃は女子更衣室がなく着替えに苦労したことなど、9割が男性という芸人の世界で生きる女性芸人ならではのエピソードが明かされた。

 かつてテレビで裸芸を披露し、大きな話題を呼んだ大島さん。「男芸人は脱いで笑いを取りに行っているのに、同じ土俵にいる女芸人はなぜ駄目なのか。男性だけずるい、悔しい」とジェンダーバイアス(性別に基づく偏見)を感じていたことがきっかけだったという。

 夫の放送作家鈴木(すずき)おさむさんとの家事分担についても紹介。掃除、洗濯は大島さん、土日の料理は鈴木さんだが、大島さんが仕事で1週間ほど家を留守にする時は「育児も家事もやるから、全力でやってきなさいと背中を押してくれる」。良好な関係を築くこつは、平等な立場で報連相(報告・連絡・相談)を密に行うことだとアドバイスした。

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 宇都宮大男女共同参画推進室の川面充子(かわづらみつこ)特任助教は、男女共同参画を取り巻く状況について基調講演。日本の男女共同参画が遅れている要因として、「男は仕事、女は家庭」といった性別役割分担意識の根深さとアンコンシャスバイアスを挙げた。

 「バイアスは誰もが持っており、全てが悪いわけではないが、採用や昇進人事などで気付かずに間違いを犯す。負の影響を最小限に抑えることを意識してほしい」と参加者に呼びかけた。

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 パネルディスカッションではパネリストとして4人が登壇。同市石井小PTA会長の石井由貴(いしいゆき)さんは「会長などトップ職だけが男性で、実務は女性がやるのはいびつ」とした上で、「女性の会長もいるのが普通という姿を子どもたちに見せられたらいいと思った」と就任の経緯を振り返った。

 同市今泉地区連合自治会長の大森幹夫(おおもりみきお)さんは地区の防災ハンドブック作りに女性の視点を取り入れた取り組みを紹介し、「幅広い意見を出してもらうことで良いものができる」と述べた。

 人材派遣業シーデーピージャパン社長の田村篤史(たむらあつし)さんは同社の育児休業・介護休業の取り組みを説明。「制度を整えることで社員が安心して働ける。派遣先の理解も深まっている」と報告した。

 宇都宮大国際学部2年の伊藤綾音(いとうあやね)さんは「男女の格差を感じたことはない。自分とは違う立場や環境にいる人の話を聞くことが大切だと思う」と提言した。

 コーディネーターを務めた川面特任助教は「まず女性活躍を進めていくことができてこそ、ダイバーシティ(多様性)などに進める。一人一人が伝えることでより活躍できる場が広がる」とまとめた。

パネルディスカッションでの大島さん(右)と川面特任助教=1日午後、宇都宮市内

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