LRTに関わる交通ルールをおさらい 危ない、ヒヤッとする場所はどこ?

ライトレール

 開業後、3件の事故が立て続いた次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線。下野新聞社の公式ホームページ「SOON」では、事故の発生から、栃木県警などが取り組む事故防止の活動まで幅広く発信してきた。ある日、掲載記事を紹介する公式X(旧・ツイッター)に、「走行時の注意事項などを動画にして公開してほしい」という要望が届いた。下野新聞デジタル報道部も事故防止をお手伝いしたい。ペンとカメラを手に取材へ向かった。

 鬼怒通りなどには軌道が敷かれ、信号もLRT用に変わった。開業前と変わった環境に不安を感じる人も少なくないはずだ。そこで県警で尋ねてみた。

 対応してくれたのは、交通部交通企画課交通事故抑止対策官の石井清一(いしいしょういち)さん(52)。「道路や交通環境は変わりましたが、運転の方法が大きく変わるわけではありません。ルールを守って安全確認を徹底すれば事故は防げます」。油断しなければ、大きく気負う必要はなさそうだ。

 列車側から感じる注意点も気になる。LRT運行会社の宇都宮ライトレールにも足を運んだ。

 出迎えてくれたのは、運輸企画部長の高坂克也(こうさかかつや)さん(61)。高坂さんによると、LRTが40キロで走行していると仮定した場合、ブレーキをかけてから完全に停止するまでの距離は約60メートル。急ブレーキでも約55メートルが必要という。乗客を載せていた場合は、さらに伸びる可能性もある。

 高坂さんは、車用の信号が左折と直進の方向指示を表示している際に「右折待ちの車が、左側の車線の車につられて動くのを見るとヒヤッとする」そうだ。車もLRTも、急には止まれないことを頭に入れておこう。

 2人からレクチャーを受けたところで、早速、沿線を車で走ってみた。思ったより列車と車の距離が近い。右に寄せ過ぎるとこすってしまいそうで怖かった。前後の車間距離だけでなく、左右の距離もきちんと把握しなくては。ゼブラゾーンがある場所だと、一定の距離が保てて通常の道路と変わらない感覚で走行できた。

 問題の右折-。ハンドルを握る手に力がこもる。信号をしっかり見て、右矢印が表示されたのを確認し、前後左右を気にしながら曲がってみた。ルールを守れば普通の右折と変わりない。石井さんと高坂さんの教えを実感できた。

 実際に走ってみないと分からないこともあるが、今回作成した動画でも、沿線の交通環境をイメージすることはできる。動画を見て、安全な走行を心がけてくれる人が増えることを願っている。

石井さん
高坂さん
車内から見たライトレール
LRT信号のある信号

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