郷土食「煮ごめ」の伝統を受け継いで 安芸門徒ゆかりの精進料理 大学生も調理に挑戦

「煮ごめ」という料理をご存知ですか? 広島の浄土真宗安芸門徒ゆかりの精進料理で、昔は家庭でもよく作られていたそうです。今では、忘れられたこの広島の伝統食を受け継ごうと、調理実習の会が広島市で開かれました。

会場となった広島市安佐南区の広島文化学園短期大学です。煮ごめの調理実習には学生のほか、主催した広島消費者協会やJA広島市の関係者が参加しました。

広島消費者協会 栗原理会長
「私も知らないようなことだったんですけど、それを若い人に何とか継承してほしいなと、イベントを企画することになりました」

「煮ごめ」はもともと浄土真宗の開祖親鸞の命日の前夜=御逮夜(おたんや)に広島の安芸門徒が食べてきた精進料理です。

今回、レシピを作ったのは広島文化学園短大の村田美穂子教授です。広島市安佐北区の家庭で実際に作られていたものを参考にしました。

材料は、小豆や根菜類、こんにゃく・油揚げ豆腐などです。材料を、1センチ角のサイの目に切ってやわらかく煮るのがポイントです。

小豆は、別の鍋で1時間あまり煮ます。小豆を使うのは親鸞の好物だったからとも言われています。参加者が驚いたのが精進料理と言いながら家庭では魚のあご出汁を使っていたことです。

参加者
「あご出しを使うって私は初めて。精進料理でもおいしく食べようと」
村田教授
「そうです。だから、おいしくなければ、みんな食べてくれないから、家庭料理はおいしくないと」

広島文化学園短大 村田美穂子教授
「野菜不足の現代、日本人の食生活には、とても向いている料理。家庭でおいしい味を仕上げるのが一番大切」

この煮ごめの会、そもそものきっかけは、小豆でした。県内のJAでは、菓子工業組合からの依頼で6年前から県産小豆の栽培に取り組んでいます。その用途拡大策を消費者協会に相談したところ「煮ごめ」を取り上げることになりました。

小豆は広島市安佐北区白木町産を使いました。

JA広島市 和田信幸さん
「栽培技術が向上して、品質的に非常にいいものが採れた」

「煮ごめ」が出来上がりました。味はどうだったのでしょうか

参加者
「おいしゅうございます。野菜からの旨味がほとんど」
男子学生
「おいしいです。具がたくさんあるので、満足してます」

参加者の評判はおおむね良かったようです。
広島消費者協会では煮ごめの継承をテーマに11月、広島市内でシンポジウムを開く計画です。

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