J2とJFLから感じたこと/六川亨の日本サッカーの歩み

[写真:©︎J.LEAGUE]

IMD(代表週間)に入ったため、J1リーグは小休止。代わりに天皇杯の準決勝2試合が行われ、ともに優勝経験のある柏と川崎Fが12月9日の決勝戦に進出した。来年は1月にアジアカップがあるため決勝戦の日程が前倒しされたが、いいかげん元旦に決勝戦を開催するなどカレンダーは固定して欲しいが、シーズン移行を考慮するとそれも難しいのかもしれない。

そしてJ1リーグ以上に優勝争いも、残留争いも混沌としてきたのがJ2リーグである。週末の7日は最下位(22位)の大宮対20位の山口という残留争いの渦中にある両チームの激突を取材したが、ホームの大宮が意地を見せて2-1の勝利を収めた。これで大宮は今シーズン初の3連勝を飾り、5月17日にいわきに敗れて以来、指定席になっていた最下位から5カ月ぶりに脱出した。

かつては「落ちない大宮」として受験生のお守りにもなったことがあるが、それもJ1時代の話。いまはJ2から落ちるか落ちないか、“瀬戸際"での戦いはシーズン終了まで続くだろう。これまでにもJ2に降格したチームは終盤戦になると見違えるような試合を展開した。「なんでそれが、シーズン序盤からできなかったの?」ということになるが、それが「できない」から低迷した。理由は様々あって特定や解明は難しいのだろう。古今東西、降格の憂き目にあったチームの“七不思議"でもある。

そしてJ2リーグに話を戻せば、8日は金沢が秋田に0-2で負けて21位の大宮とは勝点3差の33で最下位に転落。残り4試合で、単純計算では12位の秋田(以下は水戸、藤枝、徳島、いわき、熊本、栃木)まで降格の可能性がある大混戦となっている。

さらに上位陣に目を向ければ、独走してきた町田が今節も甲府の抵抗に苦しみ3-3のドロー。それでも町田はこれまでの貯金から、10月14日、延期になっていた第26節をアウェー秋田戦と第39節のアウェー熊本戦(29日)を連勝すると勝ち点78となり、3位で並ぶ東京Vと磐田が連勝したとしても勝点は77で、初のJ1リーグ昇格が決まる。

もう町田のJ1昇格はカウントダウン状態かもしれないが、混戦となっているのが2位以下だ。静岡ダービーを制した清水が2位に浮上し(勝点67)、3位には東京V、4位は磐田が勝点65で続き、千葉が勝点61で5位、長崎が同58、8日は町田と3-3で引分けた甲府も勝点57の7位とプレーオフ圏内を視野にいれて大混戦となっている。

正直、週末は目の前の試合を見ながら、他会場の途中経過をきにしながらの取材で、それはJ2リーグだけでなくJ3リーグ、さらには首位のHondaが浦安(クラブライセンスはないため今シーズンのJ3昇格はない)とソニー仙台(アマチュアチーム)に連敗して混戦模様となってきたJFLもハラハラ、ドキドキものだ。サッカーは、興味を広げれば楽しみ方はいろいろある。「地域密着」というJリーグの理念を改めて感じた2週間だった。


【文・六川亨】

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