さくらの日本家屋、七宝で彩る 先祖が喜連川足利家の佐藤さん 13日から展示会

那珂川を前に作品を手にする佐藤さん

 【さくら】大田原市黒羽向町の七宝作家佐藤育子(さとういくこ)さん(80)が13~15日、喜連川の笹屋別邸で展示会を開く。佐藤さんの先祖が、喜連川足利家8代公方恵氏(やすうじ)の三男という縁で、実現した。七宝の概念を超える作品約180点が、会場となる江戸時代後期の日本家屋を彩る。

 佐藤さんは50年以上前、横浜市白楽にあった教室へ電車で通い、七宝の基本を習得。日本七宝作家協会正会員として活動を続けた。2010年から、日展の工芸美術部門で5年連続の入選を果たした。現在は日本現代工芸展正会員として、大田原市芸術文化研究所などで指導を行っている。

 七宝焼は銅板などの下地に、うわぐすりを施して焼成すると、溶け具合によって美しい彩色が施される。

 佐藤さんの作品は、自宅近くを流れる「那珂川」をテーマにしたものがほとんど。四季折々の表情に魅了され、観察を欠かさない。「七宝」イコール「ブローチ」との先入観を超えた展示作品は、水の流れをドリッピングのような形で表現。最大縦160センチ、横75センチの大作も含まれる。

 足利家の菩提(ぼだい)所、龍光寺(喜連川)の20世住職で、作品展開催を後押しした深尾宗淳(ふかおそうじゅん)さん(60)は「喜連川で作品展を開くことが、佐藤さんにとっても先祖の供養に結びつくのではないかと思った」と振り返る。

 佐藤さんは「多くの仲間に面倒を見てもらって準備を進めています。喜連川を流れる荒川も那珂川水系の河川。同じようにつながっており、縁を感じます」と話している。

 期間中は喜連川公方足利氏の会メンバーもパッチワーク作品を出展し、応援する。午前10時~午後4時。入場無料。

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