厄介者ムール貝の缶詰で全国入賞 航空高石川生徒会が開発

ムール貝を使った缶詰を開発した生徒=輪島市の航空高石川

  ●奥能登地震参考 アレルギー対応

 高校生がオリジナル缶詰の出来栄えを競う全国大会の決勝が8日、都内で行われ、輪島市の航空高石川がカキ養殖場に現れる外来種のムール貝を使った缶詰で入賞を果たした。生徒は5月の奥能登地震の経験から、非常食としての機能を重視。避難所で誰もが安心して口にできるよう、アレルギーやイスラム教の戒律に沿った「ハラル」に対応するなど、能登での学びの成果を缶に詰めた。

  ●「能登かき」養殖阻害

 大会「ローカルフィッシュカングランプリ」は、生態系を乱す恐れがあったり、活用できずに廃棄されたりしている「地域の課題魚」を題材に高校生がアイデアを競う。57チームが出場し、予選通過した9チームが決勝大会に進出。航空高石川は、特産「能登かき」の殻に付着して成長を阻害する厄介者のムール貝を活用したカレー風味の炊き込みご飯と、アクアパッツァの二品で、チャレンジング賞を獲得した。

 開発したのは生徒会の菅原モハメッド・アハメドさん、吉田紋萌さん(以上3年)、前原諒駕さん、大杉遙人さん、オティエノ・ライアン・エリックさん(以上2年)の5人。珠洲市で震度6強を観測した5月の地震を受け、被災者が安心して食べられるよう、食物アレルギーの原因になり得る28品目を使わないよう工夫した。同校には留学生が多く、イスラム教徒(ムスリム)が信仰を理由に非常食を食べられないケースがあることも学び、ハラル対応にもこだわった。

 最終審査に向け、5人はカキ養殖業者から話を聞いたり、金沢でハラル料理を提供する店を訪れたりして学びを深めた。吉田さんは「普段は空について勉強している私たちが、この挑戦を通して海に関する学びや地域との交流を深めることができた」と話した。

全国大会で入賞した缶詰

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