〈奥能登国際芸術祭2023〉海を体感、表現アート ダンス、舞台にぎわう

ひびのさんがデザインした衣装を着てパフォーマンスを披露する出演者=珠洲市正院町飯塚の「スズズカ」(旧飯塚保育所)

 珠洲市全域で開催中の奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)は3連休初日の7日、海の世界を表現するアートパフォーマンスが繰り広げられた。それぞれの演者が自らの動きを「作品」として独創的な空間を演出。来場者は体を使ったアートに触れながら、能登半島の先端に広がる「さいはての海」を体感した。

 正院町飯塚の「スズズカ」(旧飯塚保育所)では、日本を代表するコスチュームアーティスト・ひびのこづえさん演出のパフォーマンス「Come and Go(カム・アンド・ゴー)」が披露された。

 海藻や魚をイメージした衣装をまとった演者が、「竜宮城」のような、きらびやかな海中空間を表現した。時に呼吸を合わせ、時に各自が思い思いに踊り、潮の満ち引きを表現。風になびくバルーンが潮の流れを連想させ、来場者から大きな拍手が送られた。

 演者は一般公募で集まり、金沢や東京、京都などから参加した。演者に加わった珠洲市緑丘中1年の小町一嘉(いちか)さん(12)は「珠洲の海の魅力を伝えたくて、自分なりに精いっぱい表現した」と笑顔で話した。

 「カム・アンド・ゴー」は8、9日も上演。スズズカではダンサー・振付師の島地保武さんが海を渡る白鳥を表現する「フライ・フライ・フライ」の公演もあった。8日も行う。

 鉢ケ崎海岸では、京都を中心に活動する劇団三毛猫座と木彫作家の熊田悠夢さんのパフォーマンス「海のまぼろし」が上演された。

 蜃気楼(しんきろう)を生み出す生物「蜃(しん)」が入っていると伝わる木箱を巡り、団員が演じる「風」と「波」が木箱の中身を想像しながらストーリーを展開。海を背にした舞台で来場者を神秘的な雰囲気に導いた。舞台の小道具は熊田さんが作成した。8日も行われる。

鉢ケ崎海岸を背に蜃気楼にまつわるストーリーを展開する演者=珠洲市蛸島町

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