99%超が「反対」、県民の声届いた…大野知事、「虐待禁止条例」改正案撤回を歓迎 提案時まで相談などなし

大野元裕知事

 大野元裕知事は自民党埼玉県議団の会見後に報道陣の取材に応じ、「県民の声が自民党県議団に届いたものと理解している。県の執行部としては議会の議論に制度上介入できない。今回の議案撤回については歓迎したい」と話した。

 条例改正案について大野知事は「『禁止事項があるけれども、安全配慮がなされていればいい』と議論するときには、通常は安全配慮が後ろに来る。後ろは前をひっくり返せるけど、前は後ろをひっくり返さないのが(法律や条例の)作り方」と法律論を説明した上で、「『安全配慮義務が禁止事項にもかかわらず効く』という(自民県議団の)説明は常識からいうと難しい」と指摘した。

 改正案の提案時まで執行部に相談や意見を求められたことはなかったと明かし、「議員提案条例の在り方を検討する時期に来ているのではないか。議員提案条例の手続きはまだまだ未成熟。埼玉県議会から全国をリードしていくのはいかがか」と条例制定までのプロセスの見直しを提言した。

 県にもマイナスイメージが広まったことを懸念し、「埼玉で子育てができないといった声が出るのには胸を痛めている。時間をかけてイメージを払拭し、埼玉は子育てがしやすい県であるとアピールする機会を数多くつくっていく必要がある」と話した。

 県が設置している「知事への提案」には10日午後2時時点で1007件の意見が寄せられ、反対1005件、賛成2件(どちらかといえばを含む)だった。

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