【実録】大腸検査でポリープ除去、医療保険の給付金請求をしてみた

民間の保険、入っていますか?

生命保険の1年間あたりの払込保険料(個人年金保険を含む)は、男性で20.6万円、女性で16.0万円です(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度>より)。月あたりにすると、男性は約1万7000円、女性は約1万3000円の保険料を納めていることになります。

保険に加入すると安心感は得られますが、保険金・給付金の請求についてまで、把握できているでしょうか? 筆者が、最近医療保険で給付金を受け取った体験談をふくめながら、注意点をお伝えします。


どんなときに保険金・給付金が出るか、ご存じですか?

筆者は、雑誌やWEB上で家計アドバイスをすることが多いのですが、加入中の保険の内容を理解できていないケースがよくあります。

「親(知り合い)にすすめられたので、内容はわからない」「契約時の資料を紛失してしまった」とおっしゃる方がいます。

「それでは、何かあったときに保険金が請求できないので注意が必要ですよ」と伝えると、慌てて探したり、WEB上で内容をチェックしたりして、見直すきっかけになっているようです。また、「ご家族も知っておけば、自分に何かあったときに代わりに請求してくれるので、受け取り漏れがないですよ」とお伝えしています。

特に、「医療保険」については、給付金が支払われる頻度が比較的多いと思いますので、よくチェックしておく必要があります。

大腸検査でポリープが見つかって、切除して保険金が出た体験談

筆者は先日、大腸の内視鏡検査を受けました。

ある程度年齢を重ねたら、念のため受けたほうがいい検査だといろいろな方に聞いていたのと、ときどき腹痛になることがあったため、検査を受けてきました。

徒歩ですぐ行けるクリニックに相談に行き、処方してもらった下剤を、家で午前中から10~15分おきに少しずつ飲んでいきます。下剤の名前をX(旧Twitter)で検索してみて、同じように自宅で飲んでいる方のエピソードを読みながら、励まされて飲み続け、腸をきれいにして午後からクリニックに行って検査を受けました。

鎮静剤を点滴してもらい、苦痛なく、うとうとしている間に検査は終わりました。

少し体を休めた後、先生に画像を見せていただき、ポリープが見つかって切除したこと、念のため検査に出したことを聞きました。

後日、検査の結果、良性だとわかりました、ただ、年数経過によって癌化する可能性があるポリープとのことで、切除できてホッとしました。

病院に行く際には、医療保険の保障内容を確認

さて、医療保険の話です。実は検査を受ける前に、もし何かあったら給付金が出るだろうか…と、試しに、加入している医療保険の支払い規定(保障対象)をネットで調べました。

筆者が加入中のタイプを見てみると、大腸ポリープ切除の場合は、入院せずに日帰りでも、手術給付金が出ることがわかりました。さらに、大腸ポリープのように、比較的大きな病気でない場合は、WEB上で給付金請求手続きが完結することもわかりました(筆者が加入している医療保険のケースです)。

医療保険の給付金請求というと、医師の診断書を書いてもらう必要があるなど、少々時間と費用がかかる印象でしたが、「診断明細書」の写真をスマホで取り、WEBでアップロードすればOKでした。

実際に、大腸ポリープの切除があったため、検査の結果が出た後に、給付金の請求手続きをしました。

給付金請求はものの5分、10分程度で終わり、翌日には給付金が振り込まれて驚きました(保険会社によって異なります。詳細は契約中の保険会社にご確認いただけたらと思います)。

念のため、給付金請求の手続きを調べておくと

今回は、「診療明細書」のアップロードだけで済みましたが、もし何かあった際に、医師の診断書や書類が必要な場合、再度病院に行くのも手間ですので、事前にどのような手続きが必要か、調べておくといいと思います。病気の内容によっては、現在もWEB請求ではなく、医師の診断書を同封した郵送が必要なこともあります。

検査の結果がわかった日などに、病院の受付の方に相談して、医師の診断書を書いてもらうことができれば、何度もお願いする手間を省ける可能性があります。

筆者は以前、出産の帝王切開や、その他の手術で給付金を受け取ったことがあります。その際には、WEB上での手続きがまだ整っていなかったのか、医師に診断書を書いてもらうパターンでした。

保険会社や加入のタイプによっても異なりますので、ぜひ調べてみてください。

民間の医療保険には入るべきか、否か?

今回は、医療保険の給付金請求について体験談をお届けしましたが、「そもそも、医療保険には入ったほうがいいの?」と迷っている方もいるでしょう。もしたくさんの貯蓄があれば、医療保険は不要だと思います。

なぜなら、大きな医療費がかかった場合、健康保険の「高額療養費制度」によって、年収約770万円~約1,160万円の人なら、月9万円ほどの自己負担で済むからです(自己負担額は年齢や年収などにより異なります)。

ですが、筆者は、以前身内が大きな病気をした際に、医療保険から給付金が出て、精神的に救われたことがあります。多少の貯蓄があっても、「病気もして、さらに貯蓄がどんどん減ってしまう怖さ」を感じずに済み、さらに「大きな病気をして辛いけど、給付金が出てよかったという少しでも明るい話題ができたこと」がよいなと感じたからです。

保険は、基本的には「めったにおこらないこと」「何かが起こったときに、自分ではたちうちできないこと」に優先して加入するべきだとは思います。でも、医療保険の場合は、大きな病気やケガなどのつらい状況になったときに、精神的カバーの役割も果たしてくれます。非常に安い保険料のものであれば、加入してもよいのではと、個人的に考えています。

支払った保険料を計算して、さらに支払う医療費を計算した場合、いわゆる“元が取れた”という状況にはならないかもしれませんが(ならないほうが、健康的でありがたいことですね)、それでも、万一の時の救いになるかなと感じて、筆者はかなり抑えた保険料の医療保険に加入を続けています。

また、よく健康診断などで「何か病気がわかったら怖い」と避けている人や、再検査の結果が出ても「大きな病気がわかりそうで怖い」「仕事が落ち着いてから行こうと思う」と、検査に行くのが億劫になる話もよく聞きます。

でも、医療保険に入っていれば「何かあったら、給付金が出てカバーできる」と考えることもできるので、病気の早期発見にもつながるのではないでしょうか。

医療保険は、精神面のカバーも含めて検討するのも手

死亡に備える生命保険は、加入すべきかどうかというのは比較的明確なのですが(万一その人が亡くなった場合に、今まで通りの生活をする際に、公的保障や勤務先の手当、貯蓄で足りなければ、その分の加入がのぞましい)、医療保険については、ある程度医療費の支払いができる人の場合は、精神面も考えたうえで検討してもよいのではと考えています。

もちろん、加入しないで、その分の保険料分を、将来の医療費として貯蓄をしていくのも一案でしょう。問題は、「何かあったときに、貯蓄がゼロ」「高額療養費制度があっても、医療費の支払いが大変で、家計が赤字続き」などということにならないように、貯蓄である程度備えておくことが大切です。

医療保険に加入中なら、しっかり確認しておこう

医療保険に加入している場合は、いま一度、どんな場合に給付金が出るかを確認しておきましょう。いざというときこそ余裕がなく、せっかく給付金が出る場合でも、請求をしそびれてしまうかもしれません。

「どんな手術なら出るのか」「通院の場合は出るのか」といったこともあわせて確認しておくと、今後何かあったときにスムーズに請求ができて、保険に加入していた意味を感じられるのではないでしょうか。

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