「彼は妄想の世界に入り込んでいる 無理やりは絶対に許されない」袴田巖さんの出廷免除求め弁護団が補足資料を提出 裁判所10月中旬までに判断か

1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の一家4人を殺害したとして、死刑が確定した袴田巖さん(87)の再審=やり直し裁判の初公判を10月27日に控え、袴田さんの出廷免除を求める弁護団は、静岡地方裁判所に補足資料を提出しました。静岡地裁は袴田さんの出廷について、10月中旬までに判断するとみられます。

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袴田さんは長年にわたり、拘置されたことで精神的に不安定な状況が続く「拘禁反応」がみられ、精神科医は現在もその状況が続いていると診断しています。

これまでに弁護団は、医師の診断書を提出するなど、静岡地裁に対して袴田さんの出廷の免除を認めるよう求めてきました。

10月10日、弁護団は静岡地裁が求めていた補足資料を提出。資料は、袴田さんが2014年の釈放後に書いたノート2冊分の文章や2022年12月、東京高等裁判所の裁判長と面会した際の記録などです。

袴田さんは面会の中で「(袴田)事件はない」「自分は無罪になっている」と話したということです。

<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>
「彼が書いたものを見れば、彼は妄想の世界に入り込んでいることがよくわかる。それをまた無理やり裁判所に連れ戻す、出廷させるのは、さらに症状を悪化させる。そんなことは絶対に許されない」

刑事事件では、被告人の出廷が義務付けられています。一方で、刑事訴訟法の規定では、再審について「回復の見込みがない心神喪失者」の場合は、本人が出廷しなくても審理ができると定めています。

関係者によりますと、再審を担当する静岡地裁の國井恒志裁判長は9月29日、静岡地裁浜松支部で袴田さんと面会していて、袴田さんの出廷について、10月中旬までに判断するとみられます。

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