福岡が鶴野のヘディング弾1発で名古屋を撃破! クラブ史上初の決勝進出に向け先勝【ルヴァンカップ】

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11日、YBCルヴァンカップ準決勝第1戦のアビスパ福岡vs名古屋グランパスがベスト電器スタジアムで行われ、福岡が1-0で勝利した。

初のルヴァンカップ制覇を目指す福岡。天皇杯準決勝で川崎フロンターレに敗れてから中2日だが、1996年のJリーグ参入後、主要タイトル獲得経験がないチームは渇望をこの一戦で示し、アウェイでの第2戦につなげたいところだ。

対する名古屋は絶不調。鹿島アントラーズを下してルヴァン杯準決勝まで駒を進めた一方、リーグ戦では6試合白星から遠ざかり、優勝戦線から脱落した格好に。長谷川健太監督が来季も続投することが発表された中、直近のサンフレッチェ広島戦では今シーズン初の逆転負けを喫している。

福岡は川崎F戦から奈良以外のスタメン10人を入れ替え、エース山岸がベンチでスタンバイ。名古屋も主力の多くをスタメンに並べた一方、キャスパー・ユンカーと森島という強力アタッカー2枚がベンチから出場機会を窺った。

堅守速攻をベースに戦う両チームの一戦。立ち上がりからピッチ各所で激しいデュエルが繰り広げられる一方、どちらもゴール前までなかなかボールを運べず、20分過ぎまでシュートは福岡の1本しか生まれない。

互いに[3-4-2-1]のミラーゲームであることも影響している中、敵陣でのプレー時間が長いのは、先月のリーグ戦で名古屋を撃破している福岡。その試合唯一のゴールを決めたウェリントンは前線でのポストプレーを惜しまない。

ファーストチャンスも福岡。23分、後方からの浮き球にスプリントした鶴野は、名古屋の藤井が処理しきれなかったところを見逃さず、ボックス左の角度のない位置から左足を振り抜くも、GKランゲラックに掻き出された。

年齢を重ねるごとに献身性が増していく福岡の35歳ウェリントンは27分、ロングボールに対して必死にスプリントし、ボックス左のゴールライン寸前から中央へ折り返す。だが、追走する選手がおらず、フィニッシュまで至らない。

ウェリントンは33分にセットプレーの流れから、続く34分にはロングカウンターから、いずれも最後は左サイドからのクロスに頭で合わせるが、1本目のシュートは惜しくもゴール左へ外れ、2本目はランゲラックに難なく処理される。

福岡がウェリントンを中心にテンポを上げる一方、名古屋は相変わらずゴール前までボールを運べない。永井が自慢の俊足を活かすスペースはなく、最前線の188cm中島は福岡の奈良に徹底マークされる。

すると、前半アディショナルタイム3分に福岡が先制。紺野が右サイドから左足のクロスを上げると、ゴール正面で待ち構えるウェリントンの頭上を越し、ボールはファーに走った鶴野のもとへ。鶴野が勢いそのままに頭で合わせ、Jリーグ屈指の守護神ランゲラックが守るゴールを撃ち抜いた。

実りなき前半を過ごした名古屋は後半頭からユンカーを投入。リーグ戦13ゴールの貴公子に同点、そして逆転を託す。

後半キックオフからわずか20秒、名古屋にさっそくチャンス。左サイドを抜け出した山田が中央へ折り返し、走り込んで右足で合わせたのは前田。ブロックされてCKに逃げられたが、サイドからのチャンス演出はこの日初めてとなった。

50分には福岡に惜しいシーン。中村の左CKはゴール前で跳ね返されるも、ルーズボールをボックス左で自ら拾った中村は迷わず右足シュート。内巻きのコントロールショットはほんのわずかにクロスバーの上へ外れた。

後半立ち上がりこそ可能性を感じさせた名古屋だが、出足の鋭さで福岡に凌駕され、ウェリントンの猛烈なプレスバックでパス回しを遮断されることも。最大の問題は攻守両面でセカンドボールを拾われがちな点だ。

それでも愚直にトライ&エラーを繰り返す名古屋。60分、縦パスを受けたユンカーのフリックから永井を経由し、3列目から走り込んだ稲垣がボックス内へ。稲垣はダイレクトで右足を振り抜くも、奈良に寸前でブロックされる。

名古屋は73分に3枚替え。永井、前田、山田を下げ、18歳の貴田、森島、内田を投入する。

対する福岡も77分に3枚替え。紺野、森山、亀川を下げ、エース山岸、井手口、前嶋を投入。川崎F戦から中2日の福岡は、試合が終盤に差し掛かるタイミングで交代カードを使い切った。

山岸は投入直後の78分、名古屋の丸山と頭部が接触するというアクシデントに見舞われるも、幸いにもお互いともプレーに支障なし。リーグ戦でチーム最多の8ゴールをマークする山岸は前線からの守備が光る。

一進一退の攻防が続く好ゲームも福岡1点リードのまま終盤へ。後半に入ってゴール前への接近を許す回数が増えた福岡だが、名古屋の決定機と呼べるほどのシーンは作らせておらず、日程も厳しいなかで逞しさを感じさせる。

結局、福岡は後半アディショナルタイム6分間も含めて凌ぎ切り、名古屋を1-0で撃破。クラブ史上初のルヴァンカップ決勝戦進出に王手をかける勝利となった。

名古屋にとっては痛い敗戦に。なかなかギアが上がらなかった前半の最後に失点という、堅守速攻を得意とするチームとしては最悪の試合展開となり、多少なりともテンポを上げた後半は崩しのアイデア不足が目立つこととなった。

アビスパ福岡 1-0 名古屋グランパス
【福岡】
鶴野怜樹(前45+3)

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