日本代表とカナダ代表と対戦するMIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023が13日午後7時35分に新潟・デンカビッグスワンスタジアムで開催される。
これまでカナダ代表は自国の代表権利を持ちながら他国の代表を選択され、イングランド代表を選択したMFオーウェン・ハーグリーヴス、兄ジュリアンがカナダ代表にもかかわらずオランダ代表を選んだMFジョナサン・デ・グズマンなどワールドクラスの戦力を取り逃してきた。
現在も優れた選手を取り逃しており、昨年にワールドカップに出場したカナダとしてはこの流れを何とか食い止めたい。
今回はカナダ代表に権利を持っていたにもかかわらず、他の代表を選んだ現役5選手をピックアップした。
モロッコをW杯4強に押し上げた守護神
ヤシン・ブヌ
選択した代表:モロッコ
所属:アル・ヒラル(サウジアラビア1部)
ポジション:ゴールキーパー
カナダのモントリオールで生を受けたブヌは、2才のときにモロッコのカサブランカへ移住した。1999年からモロッコ国内屈指の名門であるウィダード・カサブランカの下部組織でキャリアを始めた。
2013年にカナダとモロッコの代表権利を持っていたブヌは、モロッコ代表を選択。正確なロングフィードと身長190センチを生かしたハイボール処理などでモロッコの正守護神として君臨。昨年はW杯でチームの4強進出に大きく貢献してみせた。
カナダ生まれなだけに早いうちからカナダはアプローチをかけていたが、第2の故郷を選択された。W杯やセビージャでの活躍を見ると、ゴールキーパー層が薄いカナダにとって失った損失は大きすぎた。
イタリア有数のバランサー
ブライアン・クリスタンテ
選択した代表:イタリア
所属:ローマ(イタリア1部)
ポジション:守備的ミッドフィルダー
カナダ人の父を持つためカナダのパスポートを所持しているクリスタンテは、イタリアの強豪ミランの下部組織で大きな期待をされながら順調に育っていった。ただトップチームには定着できず、ベンフィカ移籍後もなかなか定位置をつかめなかった。
2017-18シーズンに期限付き移籍で加入したアタランタでリーグ戦36試合9得点とキャリアハイの活躍を示し、2017年にアッズーリ(イタリア語で青色、チームカラーを青とするイタリア代表の愛称)のシャツを身にまとうことになった。
二列目の飛び出し、正確なパス、幅広い視野に起点を潰せる的確な守備などカナダにとってみれば喉から手が出るほどの逸材だった。だが生まれ育ったイタリアを選択したクリスタンテは代表チームで35試合2得点と存在感を見せている。
ボスニア・ヘルツェゴビナをワールドカップに導いた守護神
アスミル・ベゴヴィッチ
選択した代表:ボスニア・ヘルツェゴビナ
所属:QPR(イングランド2部)
ポジション:ゴールキーパー
ボスニア紛争から逃れるために、幼少期はドイツへ避難。キルヒハウゼンの下部組織で打ち込み、10才のときにはカナダへと渡った。
カナダではカナダU-20代表に選出されるも、A代表では出場機会をつかめなかった。その後ボスニア・ヘルツェゴビナ協会の説得もあり、母国の代表チームを選んだ。
そして、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表で正守護神を務めたベゴヴィッチは、チームを2014年ワールドカップブラジル大会出場に導いた。クラブでもストーク・シティ所属時の2013年11月のサウサンプトン戦でゴールキックから直接ゴールを奪うなど記憶に残る活躍を見せた。
昨季引退した元カナダ代表FW中島ファラン一生さんは
「ゴールキーパーのアスミル・ベゴヴィッチなんかは僕と一緒にゴールドカップ出たんですよ。本当にやらかしましたね。 ベンチにいたのに、出場させなかったんです。その後に、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表から招集を受けて持っていかれたんですよね。 あれは滅茶苦茶惜しいことしましたね」
と過去にQolyの取材を受けた際にベゴヴィッチの代表鞍替えを振り返っている。あと一歩のところでカナダは優れたGKを逃してしまった…。
カナダ最大の損失といわれた男
フィカヨ・トモリ
選択した代表:イングランド
所属:ミラン
ポジション:センターバック
カナダのカルガリーでナイジェリア人の両親から生まれたトモリは、8才のときにイングランドの名門であるチェルシーに才能を認められる形でアカデミーに入団した。ただチェルシーではなかなか頭角を現すことができなかったトモリは、期限付き移籍を転々としながらも、ミランでその才能を開花した。
優れたスピードと屈強なフィジカルを駆使した対人能力は秀逸であり、足元の技術もあるためビルドアップにも問題なく参加できる。カナダ代表は育成年代のU-20代表まで選択していたが、途中でイングランドへ鞍替えしてしまった。
センターバックが最大の弱点とされるカナダにとって各メディアに「最大の損失」といわれるほど、トモリのイングランド代表選択は衝撃が走ったという。現在イングランド代表では2019年に招集されてからわずか3試合と、カナダからすれば長く悔やまれる結果となってしまった。
3カ国で争奪戦となっている神童
ルカ・コレオショ
選択した代表:イタリア(U-19代表)
所属:バーンリー
ポジション:ウイング
イタリア、アメリカ、カナダで争奪戦となっているコレオショはスペインのエスパニョールでも神童といわれる逸材だ。若干17才でラ・リーガでデビューした天才は昨季リーグ戦で4試合1得点と確かな足跡を残している。
高レベルのスピードとテクニックを両立したドリブルは切れ味抜群であり、1対1に持ち込まれれば対処は非常に難しい。守備も卒なくこなし、距離が離れていても強力なミドルシュートでゴールを狙うなど、状況判断能力も優れている。
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出生地はアメリカであり、U-15代表は生まれ故郷を選んだ。その後2022年にカタール、ウルグアイに臨むカナダのA代表に選出されるも、出場しなかった。現在はU-19イタリア代表を選択し、イタリアがリードしている状況だ。現在19才ながらプレミアリーグで8試合1アシストと活躍しており、あのときワールドカップに出場させていたら…とあとの祭りになりつつある。