「藤井伝説」新たな章へ シリーズ不敗の18連勝

将棋の第71期王座戦5番勝負第4局を終え、大盤解説会場であいさつする藤井聡太八冠=11日夜、京都市

 新たな伝説が始まった。11日、将棋の第71期王座戦5番勝負で藤井聡太七冠が永瀬拓矢王座を破り、初の全八冠を独占。最後の駒を置いた指先には力がこもっていた。出場した18度のタイトル戦を全て制し、若き第一人者の「不敗神話」は続いていく。

 午後8時59分。「負けました」。永瀬前王座が頭を下げると、藤井八冠も丁寧にお辞儀を返した。終局後、大勢の報道陣がなだれ込み、感想を聞かれると、「(今シリーズは)どれも難しい将棋で実力不足を感じた。この経験を糧にしたい」と喜びをにじませた。

 王手をかけて臨んだ京都市内のホテルでの第4局。白っぽい和服を身にまとった。対局前のお決まりとなっているお茶を一口含んで気合を高め、次第に“勝負師の顔”になっていった。静寂に包まれた対局室。午前9時、立会人の合図で開始されると、鋭いまなざしで一手一手、丁寧に進めた。

 難所の局面では扇子を片手に、盤に覆いかぶさるようグッと身を乗り出し読みふけった。相手の永瀬前王座は練習将棋のパートナーで、手の内を知られている。戦型は研究が進む角換わりから、中盤は永瀬前王座がペースを握った。その後は形勢が二転三転したが、最後に抜け出し相手を投了に追い込んだ。

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