「OMは成長するどころか退行しているクラブ」、ウルトラス脅迫によって志半ばでマルセイユ辞任のマルセリーノが怒り露わ

[写真:Getty Images]

過激なウルトラスからの脅迫によってマルセイユの指揮官を早期辞任したマルセリーノ・ガルシア・トラル氏が、辞任後初めて経緯を語った。

今シーズンからマルセイユの新指揮官に就任したマルセリーノ監督だったが、チャンピオンズリーグ(CL)予選でパナシナイコスに敗れ、痛恨の本戦行きを逃した。

さらに、リーグ・アンでも格下相手の取りこぼしが目立ち、2勝3分けと微妙なスタートに。また、サポーターからは結果と共にプレースタイルへの不満の声が多く上がっていた。

そういったなか、以前から過激な集団として認識されるウルトラスは9月18日にクラブのトレーニング施設でクラブ首脳陣との会合を要求。

極度に緊張したその会談では、マルセリーノ氏やパブロ・ロンゴリア会長といった首脳陣に退団を求める脅迫まがいの要求が行われ、クラブはその要求に屈服、あるいはこれ以上こういった輩を相手にクラブ運営が不可能と感じたか、いずれも辞任の道を選択した。

その後、クラブはジェンナーロ・ガットゥーゾ新監督を招へいしている。

その騒動から約1カ月を経て、就任7試合でクラブを離れることになったスペイン人指揮官は、フランス『レキップ』で今回の辞任の経緯に言及。ウルトラスへの怒りや、短期間の仕事の中で感じたクラブの運営面での問題について率直な考えを語った。

「私が辞める決断をしたのではなく、絶対に非難されるべき脅迫を考慮した一般的な決断だった。私は自分の仕事の分野での脅迫を決して受け入れない」

「とても怒っていて、悲しかった。ビッグクラブで魅力的なプロジェクトを展開することに全力を注ぐ。少なくとも我々はこのクラブがあらゆる意味でビッグクラブだと思っていたが、こうした嘆かわしい出来事は、このクラブが望むほどビッグクラブではないことを示している」

「常にイベントに影響を与えたい一部の急進的なサポーターの存在が、ビッグクラブになることを妨げている」

「私は20年間監督を務めており、その前はほぼ20年間プレーヤーとしても活動していた。だが、私の人生でそんなことは一度も経験したことがなかったし、もう二度と見ることはないと思う。少なくともそう願っている。それは2023年の文明国における現実のあるべき姿とはかけ離れたやり方だ」

「(マルセイユでの)私の経験は非常に短く、クラブでプロジェクトを立ち上げるのは絶対に不可能だと思う。あんな大きなクラブをたった数人で操ることはできないからだ。真剣なクラブはトップから管理され、あらゆる問題やあらゆる状況が管理され、必要に応じて制裁が与えられる」

「サポーターはサポーターだ。それらは情熱を伝えるもので、クラブにとって必要なものだ。ホームのヴェロドロームで試合を体験するのは本当に魔法のようで、これまで私が経験したこととはまったく違った。つまり、サポーターは励まし、首脳陣は働き、シーズンの終わりに評価を下すことになるが、それは2カ月後ではない」

「それは、すべてが事前に調整されていることを意味している。クラブは退化するのではなく、成長するべきだが、ここしばらくの結果が示しているように、OMは成長するどころか退行しているクラブだ」

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