県内、またクマ人身被害 木場潟で男性顔、腕に重傷

男性がクマに襲われた木場潟公園東園地。クマは高さ2メートルの柵を乗り越えて侵入した可能性がある=11日午後3時10分、小松市三谷町

  ●児童警戒、集団下校

 11日午前10時40分ごろ、小松市三谷町の木場潟公園東園地で、公園の男性職員(61)がクマに顔を引っかかれ、腕をかまれる重傷を負った。ドクターヘリで金沢市の石川県立中央病院に運ばれ、命に別条はないとみられる。クマは国道8号方面に逃げ、見つかっていない。県内では9日朝、金沢市の大乗寺丘陵公園で男性(84)がクマに引っかかれて負傷したばかり。相次いで人身被害が発生し、専門家は冬眠前のクマが餌を求めて積極的に行動しているとして注意を呼び掛けている。

 公園を運営する県南加賀土木総合事務所と小松市、市消防本部によると、東園地の指定管理者「岸グリーンサービス」(加賀市)の社員男性2人が、園を囲む柵を見て回っていたところ、1人がクマに襲われた。無事だったもう1人が119番通報した。足跡から、クマは成獣とみられる。

 通報した男性は、クマが現場近くの柵を乗り越えて国道8号方向に逃げるのを目撃したという。柵は高さ約2メートルで、クマが通ったとみられる上部の電気柵部分が園の外側に向けてひしゃげていた。

 木場潟公園はJR北陸線小松駅から約4キロの山間部近くに位置している。地元猟友会や小松市、市消防本部、小松署が園周辺をパトロールした。市は午後0時半に対策会議を開き、市内の国道8号沿いの小中計9校に対し、11、12日に集団登下校か保護者による送迎を行うよう要請した。木場潟公園内に注意喚起看板6本を設置したほか、17日まで東園地周辺のパトロールを継続する。

 東園地は4月に開園したばかり。同事務所によると、クマは未整備部分の森林で見つかった。森林は柵で囲まれ、門扉は1カ所しかなく、塩浦晃次長は「柵を越えて入ってきたとすればびっくりだ。何らかの対策を講じ、来園者の安心安全の確保に努めたい」と述べた。

 東園地に近い蓮代寺小では6限目の授業を取りやめ、児童は教員に付き添われ、クマ鈴で対策しながら集団下校した。木場小児童は保護者の送迎で帰宅し、1年女子の孫を迎えに来た山本文子さん(67)=木場町=は「最近クマが人を襲うニュースが相次ぎ、不安でならない」と表情を曇らせた。

クマ鈴を付けて集団下校する児童=11日午後2時45分、小松市蓮代寺小前

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