高齢入所者の誤嚥性肺炎予防へ口腔ケア 久大ブロック5施設が取り組み【大分県】

原田禎二施設長(左)が小型カメラを持ち口の中を撮影。オンラインで歯科衛生士に評価してもらう=由布市挾間町向原の若葉苑

 【由布】県老人福祉施設協議会の久大ブロック施設連絡会の5施設が、入所者の誤嚥(ごえん)性肺炎を防ぐため、口腔(こうくう)ケアに力を入れている。予防のノウハウを持つ福岡市の会社と契約。統一された器具や手順によるケアを取り入れ、歯科医師や歯科衛生士と連携するなど、肺炎予防や職員の負担軽減、医療費の削減を目指す。

 誤嚥性肺炎になると、入所者が症状に苦しむだけでなく、入院や退去になると施設にとって収入減につながる。医療費もかかるなどマイナス面が大きい。

 適切な口腔ケアで予防しようと、同連絡会の5施設は今春から、歯科医師が創業し「誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト」を推進する「クロスケアデンタル」(福岡市)と契約。同社のセミナーを職員が受講し、スポンジブラシと歯ブラシによるブラッシング手法、歯肉や口の筋肉をマッサージするなどのリハビリテーション法を学んでいる。

 由布市挾間町向原の特別養護老人ホーム「若葉苑」は4月から取り組みを始めた。セミナーで学んだ手法で週2回ケアし、定期的に専門家が口の中をチェックする。5月には歯科医師が施設を訪問し、状態を数値化。9月は歯科衛生士がオンラインで入所者の唇、舌、唾液、口腔内の清掃状態を確認した。原田禎二施設長(68)らが内視鏡カメラで映し、入所者とやりとりをしながら様子を伝える。

 中尾明博・副施設長(49)は「数値化されると、改善していることが分かるので、ケアをするモチベーションにつながる」と話す。週2回のケアは1回につき1人10分ほどで「負担ではない」という。

 原田施設長は「正しいケア方法を学ぶことで、目的やポイントが分かるようになり業務の軽減につながった。人材不足の中、科学的な介護が大事」と語る。

 複数の施設と同時に始めることで「切磋琢磨(せっさたくま)しながら、質の向上を目指したい」と意気込む。

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