ソースなど調味料製造の月星食品(足利市錦町、長沼幹雄(ながぬまみきお)社長)の子会社で清涼飲料水製造のココスター(足利市錦町)と、ワイン製造販売のココ・ファーム・ワイナリー(足利市田島町、長谷川翼(はせがわただし)社長)は11日までに、廃棄予定のワイン用ブドウを使ったジュース「このまま飲むベルジュ」を商品化した。同ワイナリーのブドウを使い、月星食品が新工場に導入した清涼飲料水の製造ラインで同ジュースを製品化している。廃棄物に手を加えて価値を高めるアップサイクルの手法で地域の素材の商品をつくり、清涼飲料水事業を成長させたい考えだ。
同ワイナリーは良質なワイン造りに必要な良質なブドウを育てようと、初夏、収穫量を2分の1以下に抑え、おいしさを凝縮させる間引き作業を行っている。
間引きした後、これまでは廃棄していた大量の緑のブドウを余すところなく活用しようと、同ワイナリーは2010年、月星食品の協力を得てブドウ酢を開発した。さらに両社は20年から、ブドウ酢をよりおいしく手軽に飲んでもらうため試作を重ね、「このまま飲むベルジュ」を開発した。
ベルジュはフランス語で未熟なブドウを搾った酸味のあるジュースを指す。内容量200ミリリットル。価格は550円、6本化粧箱入りは2700円。同ワイナリーの店頭とオンラインショップで販売している。
このまま飲むベルジュの商品化に向け、月星食品は20年9月、ココスターを設立。今年6月下旬、新たな生産拠点となる第4工場を整備した。鉄骨造り2階建て、延べ床面積660平方メートルで、1階に調味料の各製造ラインを設け、2階に清涼飲料水の製造ラインを導入した。清涼飲料水は日産約3千本を製造可能という。
月星食品は今後、廃棄予定の他の果物や野菜を使った商品も製造していきたい考え。長沼社長は「より安全安心でおいしい商品を提供できるよう新工場を作った。海外の販路開拓を含め、新しい食文化を発信していきたい」と話している。