苦境の青森県産ホタテ、シンガポールへ 小田桐商事(青森市)の輸出、七十七銀行が仲介

県産ホタテを使用したコース料理の一品。昆布締めしイカスミを混ぜたパン粉をまぶして揚げている
佐々木シェフ(テレビ画面㊨)から県産ホタテを使ったメニューの説明を受ける小林頭取(同㊧)、岩谷代表取締役(手前から2人目)、橋本課長

 青森市の水産加工・卸売業小田桐商事(岩谷孝代表取締役)は、中国による日本産水産物の輸入停止措置の影響で在庫が膨らむ県産ホタテの販路拡大を図るため、新たにシンガポールへの輸出を始めた。同社の海外販路開拓を支援した七十七銀行の青森支店で11日、同社のホタテを採用した現地レストランと中継をつなぎ、開発したメニューの試食会が行われた。

 試食会には同社の岩谷代表取締役と橋本邦之総務課長、シンガポールからは、メニューを考案したイタリアンレストラン「ラ ドロ」のオーナーシェフ佐々木洋平さんと同行の小林英文頭取が出席した。

 八戸市出身の佐々木シェフは、同店で東北産食材の活用に力を入れていたことから、今回の禁輸措置を受け「少しでも地元青森を助けられれば」と納入を決めた。考案したのは「弾力性があって味も濃く、香りも強い」(佐々木シェフ)という県産ホタテの魅力を生かした一品。試食した小林頭取は「非常においしい」と舌鼓を打った。

 同社初となるシンガポールへの輸出に当たっては、同行が仲介役として県産ホタテに対する現地バイヤーの評価の聞き取りや市場調査などを実施し、販路開拓を支援。同行によると、「ラ ドロ」のほか複数の現地飲食店などへの輸出が見込まれているという。

 岩谷代表取締役は「中国以外への新規輸出に努めていた中だったので、大変ありがたい支援。今回を機にタイや台湾など、いろいろな販路拡大について検討したい」と話した。

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