埼玉の犯罪事情、特に増加する2つの犯罪…重点目標に 各地で「安全運動」 両方の犯罪、防ぐ方法に共通点が

駅利用者に啓発品を手渡す大野元裕知事(左)と鈴木基之県警本部長(右)=11日午後3時40分ごろ、JR浦和駅東口

 警察と防犯協会などの関係機関や団体が連携し、安心して暮らせる地域社会の実現を目指す「全国地域安全運動」が11日、スタートした。埼玉県内では自転車盗と住宅侵入窃盗の被害防止を重点目標とし、20日までの期間中、県内各地でさまざまなイベントやキャンペーンを展開。広報啓発用の動画やポスターを作成し、県民に防犯意識の向上を呼びかける。

 県警生活安全総務課によると、今年1~9月に認知した自転車盗難の被害は9940件で前年同期より2673件(36.8%)増えた。全刑法犯認知件数は3万6177件(前年同期比5904件増)で、自転車盗が約27.5%を占め最多。発生場所別では、集合住宅敷地内が3463件の約34.8%で最も多く、駐輪場2515件、店舗敷地内1769件と続いた。

 住宅対象侵入窃盗被害は1257件で前年同期比292件(30.3%)増。内訳は空き巣790件、忍び込み427件、居空き40件だった。

 同課は、自転車盗の約62%が無施錠で、住宅侵入窃盗も無締まり箇所からの侵入が約40%を占めていることから、「家も自転車も、必ず鍵をかけてほしい」としている。

 県警は広く防犯意識の醸成を図ろうと運動初日の11日、街頭キャンペーンを行い、JR浦和駅東口では大野元裕知事や鈴木基之県警本部長らが「防犯意識を持ってください」「犯罪に気を付けてください」などと行き交う市民らに声をかけながら啓発品や防犯チラシを配っていた。

 このほか、15日にはイオンモール川口前川店でニュースキャスターの阿部華也子さんを広報アンバサダーに委嘱し、自身が出演している自転車被害防止と護身術の動画を放映。16日には埼玉会館大ホールで「県防犯のまちづくり県民大会」を開催し、俳優・気象予報士の石原良純さんの講演などが行われる。

 また、ラジオDJの小林克也さんが全国の重点(子供と女性の犯罪被害防止、特殊詐欺の被害防止)と県重点の計4項目を呼びかける広報啓発音声を県警の公式ユーチューブなどで配信。川島町立中山小学校3年の五味渕莉子さんが描いた公募の防犯ポスター300部を駅や警察署などに掲出する。

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