クマ警戒、集団登校 小松の6小学校、人身被害受け 保護者「すごく怖い」

クマ鈴を鳴らして集団登校する児童=12日午前7時40分、小松市木場小前

  ●東園地でパトロール

 11日に小松市三谷町の木場潟公園東園地で男性(61)がクマに襲われて重傷を負ったことを受け、市内の6小学校で12日朝、集団登校が行われた。石川県内でクマによる人身被害が相次ぐ中、木場小では児童66人がクマ鈴を鳴らして登校し、保護者は「すごく怖い」と不安を口にした。公園から近い蓮代寺小でも教職員や住民が通学路を見守ったほか、市と市消防本部、小松署は登校時間帯にパトロールしてクマへの警戒を強めた。

 木場小では、午前6時50分から小山貴子校長(59)が通学路を巡回した。集団登校時には、教職員3人が車で巡視し、住民でつくる「わがまち防犯隊」の隊員らが街頭に立った。

 学校前で児童を出迎えた小山校長は「元気にあいさつしてくれて本当にうれしい」と無事を喜んだ。同校は12日、体育の授業を屋内で実施するほか、13日まで集団登下校を続ける。

 校区内では5月にもクマの目撃情報があった。1年生の長男が通う木場町の保育士山本美幸さん(30)は「もしわが子がクマに遭ったらと思うと、すごく怖い」と表情をこわばらせた。長男は入学時から学校支給のクマ鈴を身に着けているといい「学校側の対応は丁寧で安心できる」と語った。

 市は12日、木場潟公園東園地からクマが逃げたとみられる国道8号沿線の6小学校に集団登下校を要請している。蓮代寺小の校区で、児童の見守り活動を行った田中加代枝さん(71)は「一度人を襲ったクマは凶暴になると聞いたことがある。ただ出ただけならいいけど、人身被害が怖い」と話した。

 木場潟公園を運営する県南加賀土木総合事務所と、東園地の指定管理者「岸グリーンサービス」(加賀市)は12日、地元猟友会とともに園内をパトロールした。クマはいなかった。

 犬を連れた猟友会員を含む6人が園を囲む柵約1.7キロを見て回ったところ、柵上部にある電気柵部分がひしゃげた部分が2カ所あった。クマのふんも確認された。11日正午前から閉園しており、開園時期は今後、検討する。

 木場潟公園のうち東園地以外の指定管理者である木場潟公園協会は12日、クマを誘い込まないよう園内のカキ6本から実を落とした。人身被害の発生を受け、例年よりも2週間余り、作業を早めた。

  ●金沢で目撃2回

 12日午前6時50分ごろ、金沢市上辰巳町の農道で、散歩中の住民が体長約1メートルのクマ1頭を目撃した。市によると、クマは近くの墓地から茂みへ入っていった。

 約2キロ離れた菅池町では午前10時半ごろ、畑にいた住民がカキの木に登っている1頭を見つけた。

園内のパトロールに出発する関係者=12日午前9時半、小松市三谷町の木場潟公園東園地

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