蝉川先輩Vを“120%”意識 アマ岡田晃平は日本オープンで「有名になりたい」

昨年蝉川泰果が4日間守った首位の座も引き継ぐ好発進(撮影/村上航)

◇国内メジャー◇日本オープンゴルフ選手権競技 初日(12日)◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪)◇7315yd(パー70)◇晴れ(4197人)

最終18番(パー5)、3アンダーで並んでいた同組の堀川未来夢が3打目をベタピンに絡めてタップインバーディを奪った。目の当たりにしたプロの技に、21歳のアマチュア岡田晃平(東北福祉大)も負けていない。「堀川さんが4アンダーになって、最後においしいところを持っていかれそうだったので」。下からの6mスライスをジャストタッチで沈めて4アンダー首位タイで初日を終え、力強くガッツポーズを作った。

折り返して2連続ボギーと「凡ミス」も出たが崩れなかった(撮影/村上航)

1年前、大学の先輩である蝉川泰果が大会95年ぶりとなるアマ優勝を飾った最終日の18番グリーンにいた。「予想を3倍、いや5倍くらいに超えてきたので。ポカーンとしてました」。さまざまなニュースで取り上げられ、一気にトップ選手の仲間入りを果たした様子を間近で見ていたことが励みになっている。

「自分も、もっと知名度を上げたい」。ひたすら真っすぐなモチベーションは生い立ちとも関係があるそう。高知・中土佐町(旧大野見村)出身で、「ゴルフの『ゴ』の字もないような、すごい田舎から出てきた。有名になれば、地域のみんなも喜んでくれるはず。松山(英樹)さんとか、ゴルフをしていたら誰でも知っている素晴らしい存在じゃないですか」。同じ高知から就職で移った神奈川でゴルフを覚えたという父・貴嗣さんに教わった競技でプロを目指す理由だ。

プロ顔負けの技術で驚かせた(撮影/村上航)

インパクトを残すには、上位に入るくらいじゃ足りない。「目標は優勝ですね。やっぱり、蝉川先輩が去年優勝しちゃったので、優勝しないと注目もされない。(先輩を)“120パー”くらいで意識はしているので。負けたくないなっていうのはもちろんありますし」

はっきりと口にしつつ、謙虚さを失わないのは蝉川の努力、実力を間近で感じてきから。「(自分は)比べちゃダメだなってくらいのレベル。(少し結果が出たくらいでは)慢心はできないですよね。毎日必死に練習したり、先輩の頑張りを刺激にして、自分がうまくなれるように」と表情を引き締める。

ガッツポーズで締めくくる「66」(撮影/村上航)

プロ転向に向けて、2週後に三重・白山ヴィレッジGCで行われるセカンドQT(予選会)にもエントリーを済ませ、着々と準備を進める中で迎えた一戦。同組の堀川は「(本当に)アマチュアですか、彼は?」と笑いながら、「自分より圧倒的にいい球を打つ。まともにツアーに出たら、普通にシードを獲って、優勝もしてという選手だと思う」と褒めちぎった。蝉川からその座を受け継いだ東北福祉大のキャプテンが、ことしも日本一決定戦で旋風を巻き起こす。(大阪府茨木市/亀山泰宏)

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