懲戒免職処分の取り消し訴え棄却、元職員「自分に業務集中。改善を」

大津地裁

 滋賀県甲良町の元職員の男性(42)が、違法な懲戒免職処分を受けたとして同町に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が12日、大津地裁であり、池田聡介裁判長は請求を棄却した。

 同町は、男性が民間委託の空き家調査業務が完了していなかったのに完了したとする虚偽の公文書を作成し、業者への委託料121万円を町に支払わせたとして、21年2月に懲戒免職処分にした。男性は、文書作成には上司の指示と了解があったとして、処分の取り消しなどを求めていた。

 池田裁判長は、予算の繰り越しを相談した際に上司から「今更、繰り越しできひんやろ」と言われたとする男性の主張について、上司の証人尋問などを踏まえて発言の事実は認定できないと判断。免職処分は指針にのっとっていたと結論付けた。

 判決を受け、野瀬喜久男町長は「町の処分が適正に行われたものだとの主張が認められたと受け止めている」との談話を出した。男性は取材に「自分に業務が集中する人員配置だったのに、上司は証人尋問で課内の人数も覚えていなかった。町は裁判をしっかり受け止め、環境改善してほしい」と話した。

 男性は、20年に受けた停職3カ月の懲戒処分についても取り消しを求めて提訴し、この訴訟では男性の訴えを認める判決が今年3月に最高裁で確定している。

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