「毎日が本当に地獄…自殺も考えていた」いじめで適応障害 一部加害者に賠償命令も…学校などの責任認めず「僕の証言は水の泡 何のために先生と戦ってきたのか分からない」

法廷で4年間戦った男子生徒の裁判がひとつの区切りを迎えました。静岡市内の小学校でいじめを受け、適応障害を発症したなどとして、男子生徒が加害者や静岡市などを相手取り損害賠償を求めた裁判で、静岡地方裁判所は10月12日、一部の加害者に賠償金を払うよう命じました。

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<原告の男子生徒>
「毎日が本当に地獄で、自殺も考えていました。このいじめによって僕の身体も壊されたし、僕が歩む人生もめちゃくちゃにしてくれたなと思います」

10月12日の判決を前に、当時の心境を振り返るのは、原告で静岡市内の高校に通う男子生徒(16)です。

<原告の男子生徒>
「なんで病気(適応障害)発症するのって思って。(裁判で)暴力と病気は何が何でも認めてもらいたい」

真実を明らかにしたい。男子生徒は2019年3月、裁判を起こしました。

訴状によりますと、2017年当時、千代田小学校の5年生だった男子生徒は、クラスメイトから名前に「菌」を付けて呼ばれたり、無理やりズボンを脱がされて裸にされたり、いじめを受けたといいます。

男子生徒は、静岡市や同級生らを相手取り、あわせて2,000万円あまりの損害賠償を求めています。

<原告の男子生徒>
「補聴器をつけているんですけど、補聴器をつけていないと本当に不安で、二度聞きしないと聞こえないので…」

補聴器を手放せないという男子生徒。いじめをきっかけに適応障害を発症し、6年が経ったいまも体重減少や味覚障害などの症状に苦しみながらも法廷に立ち、加害者らと闘ってきました。

ようやく迎えた判決の言い渡し。静岡地方裁判所の菊池絵理裁判長は、「小学5年生という多感な時期に菌扱いを受けた精神的苦痛は相当大きなもの」として、一部の加害者の保護者にあわせて88万円の支払いを命じました。

ただ、男子生徒が主張していた加害児童による暴行やいじめと適応障害の因果関係については、認めなかったうえ、静岡市や学校側の責任も問われませんでした。

<原告の男子生徒>
「これじゃあ、僕の証言は水の泡、何のために主尋問やってきたのか、これまで先生と闘って来たのか分からない。本当に今回は悔しいし、残念な気持ちでいっぱいです」

<原告側の代理人 小川秀世弁護士>
「行政に加担したような判決だと思う」

男子生徒は、控訴する方針です。

<原告の男子生徒>
「自分は今回、敗北となってしまったが、完全に負けたわけではないので、自分としては納得いくまで戦いたいなと思っています」

また、原告の生徒はいじめに悩む子どもに対して、「自分が悪いんだと自分を責めてほしくない。最初は親に言いづらい部分もあったけど、恥ずかしいことでも何でもないので相談する勇気を持ってほしいと思います」と語っていました。

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