米で高岡の工芸品販売 姉妹都市フォートウェーン、伝統の技発信

角田市長(右)が贈ったネクタイを合わせるヘンリー市長=フォートウェーン市役所(飛田和重撮影)

  ●角田市長が直接交渉

 【米フォートウェーン=飛田和重】高岡市は姉妹都市フォートウェーンで高岡の伝統工芸品の販売に乗り出す。現地のサポートを得て販売拠点を設け、米国における新たな市場開拓を目指す。円安による為替メリットも追い風に高岡が誇る伝統の技術を発信していく。

 フォートウェーンを訪れている角田悠紀市長が11日午前(日本時間11日夜)、富山新聞社などの取材に答えた。

 角田市長は同日、今後の交流促進に関する共同宣言の調印式に出席。式が始まる直前に非公開でトム・ヘンリー市長と懇談し、フォートウェーンで高岡の伝統工芸品を販売できないかと直接交渉した。

 昨年に姉妹都市提携45周年を迎え、市民交流を中心に絆を育んできた両市の関係に触れながら「これだけ高岡を大切にしてくれているフォートウェーンで高岡の伝統工芸に触れる機会がないのは寂しい」と指摘したのに対し、ヘンリー市長は「その通りだ」と同意。角田市長が高岡の伝統工芸の技術が使われた鋳物メーカー「能作」のタイピンを贈り、「地元で購入できる場が必要だ」と持ち掛けた。

 これにヘンリー市長は、地元の商工会議所と連絡を取って販売拠点の設置に協力することを約束。角田市長の求めに応じ、場所や扱う商品などは会議所任せにせず、市長自らが監修する意向も明かしたという。

 調印式後、角田市長は現地の報道陣の前で高岡銅器の着色技術を生かしたネクタイをヘンリー市長にプレゼントした。銅器着色メーカー「モメンタムファクトリー・Orii(オリイ)」の商品で、付加価値の高さをアピールした。

 角田市長は「米国では産業構造の変化などを背景にものづくりの技術が失われ始め、珍しい技術や高付加価値商品が豊富な高岡の伝統工芸にとってはビジネスチャンスが大きい」と話した。12日は販売拠点の候補地となる美術館や市中心部エリアを視察する。

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